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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

阪神・メッセンジャーは約2カ月後にマウンドに帰ってくる!

 

7回に阿部のライナー性の打球を右足にうけたメッセンジャー(右端)。骨折での長期離脱となったが、その心はCSでの投球を目指している


 10代のころ、スノーボードをしたときに肩を骨折したことがあると聞いていたのだが、この痛みはそれ以来だったのだろうか。8月10日の巨人戦(東京ドーム)に先発した阪神のメッセンジャー。7回に打球を右足に受け退場。翌11日に「右足の腓骨(ひこつ)骨折」と診断された。

 このときの痛みは肉体だけでなく、心の痛みも大きかっただろう。11勝(5敗)を挙げ最多勝争いを繰り広げ、リーグ最多奪三振数を誇っていた。「チームが勝つ投球ができれば、個人タイトルは必然的についてくる」というのがメッセンジャーの考え方。今季はまさに有言実行をしていただけにチームにも本人にも痛い、痛い離脱だった。

 しかし、翌日の全体ミーティングでチームメートに伝えたメッセージは、今季の彼の意気込みを表していたと思う。「クライマックスシリーズ(CS)までに復帰し、投球する」と。彼はすでに心の痛みを消し去り、前を向いて復帰に向けて動き出しているのだ。

 春季キャンプ中、金本知憲監督がメッセンジャーのしぼられた体に驚いたというが「カネモトさんが、オフはしっかりトレーニングをするように言ったからね」とその言葉を忠実に実行した。それはトレーニングによる減量。サラダにかけるドレッシングの種類はいままでと変わらないが、その量を減らした。肉の種類も牛肉を控え、チキンを多めに摂るように変えたくらいで、炭水化物を抜くなどというダイエットは行っていない。全体的に量を控えたくらい。トレーニングによる減量で今までの体のパワーは落ちることなく、自分自身に大きな自信を持って臨んだ2017年だった。シーズン中も、食事の量だけには気を使い、日本でのお気に入りのステーキ店でもこれまでよりも少ないグラムで注文し、大好きなガーリックライスもなるべく控えるようになった。

 その行動のすべては、阪神が優勝するため。尊敬する金本監督を胴上げしたいという思いがある。その目標をたてながらのアンラッキーなケガでの離脱。しかし、この強い気持ちは、ここで終わりということはない。自分自身に厳しいトレーニングを課し、成績を残してきたメッセンジャーだからこそ「CSまでに復帰をする」という言葉は嘘ではないと信じて疑わないのだ。CSファーストステージは10月14日から。約2カ月後に、その雄姿を甲子園のマウンドで見られるはずだ。

文=椎屋博幸 写真=高塩 隆
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