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あのまさかの逆転負けが広島にもたらしたもの

 

苦い経験を糧に活躍する中田


 5月6日の阪神戦(甲子園)、広島ナインはまれに見る屈辱を味わった。

 5回表まで9対0の大勝ムードから一転、5回裏からの4イニングで12点を奪われ、9対12でまさかの敗戦を喫したのだ。

 昨季から“逆転の広島”の異名を取り、数多くの逆転劇を演じてきた広島。そのお株を奪われる敗戦について、2番手で登板し、異様な雰囲気を体感した中田廉はこう振り返った。

「チームのブルペン自体は特に変わりはないですけど、個々の気持ちの持ち方は変わりました。9点差はなかなか引っくり返されるものじゃない。あのきっかけがあったから精神的に強くなれたということもありますし、何点差があっても油断はできないという中継ぎの難しさも感じました。チームというよりは、個人個人に変化があったんじゃないかと思います」

 ふとした拍子に潮目が変わることの怖さ。そして大差をつけていようともスキを与えないことの重要さ。20代の主力が多いチームにとって、屈辱はこれ以上ない教訓となったに違いない。

 8月21日現在、広島の5点差以上の勝利は30試合で、セ・リーグでは2位の阪神(19試合)を大きく引き離して1位。パ・リーグ最多の西武(26試合)も上回り、12球団トップだ。

 ちなみに、昨季の広島の5点差以上の勝利は34試合。シーズン全体の勝利に占める割合は、昨季が38.2パーセント、今季が43.5パーセントと増加しており、大差でもムダな失点を抑える意識は高まっている。

 勢いに乗って突っ走った昨季と、勝負の怖さを痛感した今季。多くの経験を積みながら広島は進化しつつある。

文=吉見淳司 写真=BBM
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