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清原を知る男が語る広陵・中村奨成

 

清原和博(PL学園)が持つ大会記録を抜く、6本塁打をマークした中村奨成(広陵)。一気に2017年夏の主役に躍り出た男のバッティングを西武時代に清原を指導した野球解説者の伊原春樹氏に分析してもらった。

体のキレは清原より上だ


初球からフルスイングできる中村の打撃には目を見張る


 やっぱり、すごい打者だね。数字が示しているとおり、巧みなバッティングをしている。タイミングの取り方がいいし、トップの位置がしっかりと決まるからバットも最短距離で出て、ボールをとらえることができている。体の軸もぶれない。スイングスピードも速いし、下半身主導のバッティングもできている。ここまで三振もゼロだし、選球眼も高いのは間違いない。

 それと、何よりも目を見張るのが初球からフルスイングできる点だろう。8月22日の準決勝、天理戦でも初回、相手投手の初球、外角高めのシュートを力強いスイングで叩いて、清原の記録に並ぶ大会第5号の先制アーチをバックスクリーンへ運んだ。当然、事前に研究はしているだろうが、初対戦の投手であそこまでフルスイングすることはなかなかできない。きっと、一、二番打者が打席に立っているとき、しっかりと見て、ベンチで、ネクストでしっかりとタイミングを合わせていたのだろう。洞察力にも優れている打者だと思う。

 清原は内角に弱点があったが、中村君は懐を攻められてもまったく苦にしない。内角球に対しても、体を開くことなく、うまく体を回転させて鋭い打球を飛ばす。さらに、清原のように逆方向へも本塁打を放つ技術もある。広角に打つことができるのは中村君の大きな武器だが、基本的にはセンター返しのバッティングを心掛けていると思う。バックスクリーンに軽々と打球をたたき込むのだから。

 体も大きいが、スピードもある。清原と比較しても、体のキレという点では中村君のほうが上だろう。天理戦でも5回裏、無死一、三塁から相手がスクイズを試みるも投手前への小フライとなった打球をいい反応で前に出てキャッチし、ベースへ戻り切れなかった三走も刺して、ダブルプレー。試合の流れを変えたが、素晴らしい身のこなしだった。

 周囲に本塁打記録を期待されながら、それをいとも簡単に成し遂げてしまう点に精神力の強さも感じられる。決勝でも、動じることなく、驚愕のバッティングを見せてくれるだろう。
週刊ベースボール編集部

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