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王貞治756号本塁打40周年記念企画

【王貞治756号本塁打(8)】広島3連戦で4本!止まらないバット

 

1977年、今から40年前、大げさではなく、日本中がプロ野球に熱狂した時期がある。王貞治のハンク・アーロンが持つ当時のメジャー最多記録通算755号本塁打への挑戦だ。アーロンはブレーブス、ブリュワーズで76年まで現役を続けたホームランバッターだが、その引退翌年に王が世界記録を狙うのも、面白いめぐり合わせではある。週刊ベースボールでは、9月3日、756号の世界新記録達成までのカウントダウンを当時、王がホームランを打った日に合わせながら、写真とともに振り返る。

敵味方関係なく沸いた球場


ビジターではあるが、もはや王のワンマンショーの雰囲気に(写真は753号)


 8月23日からの広島3連戦(広島市民)。第1戦で750号、第2戦で751号を放ち、着々と世界記録へのカウントダウンを進めてきた王。迎えた第3戦、25日の試合でも勢いは止まらなかった。

 初回、広島先発・新美敏からは2球目、外角高めのストレートをセンターバックスクリーン右に放り込む752号。新美は日本ハムから移籍1年目で、王にホームランを許したのは初めてだった。驚いたのは球場の反応。巨人ファン、広島ファン関係なく、一斉に球場が沸き、次打者の張本勲は、それが収まるまで打席に入らなかったほどだ。

 さらに7回表には、小林誠二から3ラン。このときも広島市民球場は一斉に沸いた。試合は7対0で巨人が3連勝を果たした。3戦連続4本塁打と打ちまくった王に、広島の古葉竹識監督は「3連敗の原因は王1人にやられたようなもの。それにしてもウチの投手は正直すぎるよ」と嘆いた。

 試合後の王は「チームの勝利にもつながったし、最高のホームランだね」と上機嫌。新記録まで、「あと3本」と8月中の達成も見えてきたが、「いやいや、9月中にできたらいいね」と慎重だった。

 巨人は小林が完封。ハーラートップの14勝目だった。社会人を経て5年目で、モデル顔負けの甘いマスクもあって、妻子持ちにもかかわらず、女性ファンの“おっかけ”が登場する大人気。王の世界記録騒ぎの中でも、小林には、また違った黄色い声援が飛んだ。

 長嶋茂雄監督は「プロ野球もファン層が変わりつつありますね。小林など、まるで一昔前のグループサウンズ(演奏しながら歌うアイドルグループ)みたい。でも、いいことですよ。昔は男の見るものとされていましたが、新しいファン層が開拓されるわけですしね」と笑顔で語っていた。

<次回に続く>

写真=BBM
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