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プロ野球デキゴトロジー/8月26日

阪神・田淵幸一が頭部死球で絶体絶命のピンチ!【1970年8月26日】

 

プロ2年目、ここまで89試合で21本塁打を放っていた田淵だったが……


 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は8月26日だ。

 1970年8月26日、甲子園の虎ファンを震撼させる事件が起こった。

 前年1年目に22本塁打を放ち、新人王に輝いた大型捕手の田淵幸一が3回裏、一死走者なしで打席に入った。広島外木場義郎が投じた1球を外角球と読んだのか、思い切って踏み込んだが、球は内角高め、顔面に向かう。そのまま耳なしヘルメットをかぶっていた田淵の左側頭部、しかもヘルメットがない部分にまともに当たった。

 倒れ込んだ田淵はピクピクとけいれん。ベンチから駆け付けた投手の江夏豊は、耳、鼻、口、さらには目からも血を流す田淵を見て、「もうダメだ」と思ったという。

 そのまま救急車で病院に運ばれ、精密検査の結果、ひとまず命に別状なしと診断されたが、かなりの重症。田淵自身は「一瞬、ボールが消えてパンと。あとは、まったく覚えていない」と振り返る。あとで医師からは「外に血が出てよかった。たまっていたら大変だった」と言われた。

 田淵の父は病院で村山実監督(選手兼任)に「息子は現場で死ねて本望でしょう」と毅然と言い、村山を驚かせたというが、身内も最悪の事態を覚悟する大ケガだった。

 全治3カ月と言われた田淵は10月14日に退院。引退後の話になるが、人間ドックに行った際、「頭に衝撃を受けたことがありますか。脳が死んでますね」と言われたという。

写真=BBM
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