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DeNA飯塚悟史・原点に立ち戻りプロ初勝利!

 

6度目の登板で初勝利を手にした飯塚。ウイニングボールを片手にラミレス監督に祝福された


 最初の印象は打者としてのほうが強かった。2013年秋の明治神宮大会に日本文理高の2年生エースとして出場した飯塚悟史は、沖縄尚学高との決勝戦で、打順は九番ながら2打席連続の本塁打を放った。5回の2本目は神宮球場のバックスクリーンを超える驚きの一発。ピッチングでは8回を投げ9失点(自責点5)と沖縄尚学高に逆転を許し神宮制覇はならなかったが、全国の舞台で顔を売った。

 明治神宮大会では打撃が注目されたが、投手としても高校時代から高いゲームメーク能力に優れており、甲子園には通算3度出場。3年夏には5試合を1人で投げ抜き、4強に進出している。

 2015年にドラフト7位でDeNA入団後は二軍で力をつけた。3年目の今季、6月19日のオリックス戦(横浜)でプロ初登板&初先発。勝ち星はつかなかったものの、5回無失点の好投で評価を上げた。

 ストレートは140キロ台だが、フォークをはじめとする変化球で打たせて取るのが投球スタイル。尊敬する投手は、昨年までDeNAに在籍した三浦大輔氏だ。その大先輩は「デビュー戦としては最高の形だった。きっちり投げれば、一軍で通用することが分かったはず」と初登板を評価した。しかし、ここから先発として、なかなか勝てない日々が続く。

「登板を重ねていくうちにデータもそろい、相手も研究してくる。そのときどう乗り越えていけるか」と三浦氏もアドバイスを送った。

 6度目の先発となった8月30日の中日戦(ナゴヤドーム)には「勝つために無失点に抑える」と強い気持ちでマウンドに上がった。この日は投球の原点に立ち戻る。変化球に頼ることなく強いストレートを投げ込むことを強く意識した。

 初回、三番・大島洋平に対しては全球まっすぐ勝負で3球三振。最後は138kmの内角高めのストレートで空振りを奪った。その後は、持ち味である内野ゴロを打たせる投球で中日打線を封じ込めていったが、一貫してストレートで向かっていく姿勢を崩すことはなかった。6回途中までで3安打、2奪三振、1失点に抑える好投に野手の援護も加わり、待望の初勝利を手にした(6対3)。

「とにかく嬉しいです。なかなか勝てずにプロで1勝を挙げる難しさを痛感しました。これから1戦1戦落とせない試合が続く。自分らしい投球を心掛けたいです」とヒーローインタビューで喜びを語った飯塚。3年目の右腕が6人目の先発ローテとして、DeNAの2年連続CS進出の1ピースを担っていく。

文=滝川和臣 写真=榎本郁也
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