目下のターゲットはポストシーズン進出。8月31日時点で3位のDeNAに2.5ゲーム差の4位・巨人に頼もしい右腕が加わった。
昨シーズンの最多セーブ投手(37セーブ)で、2年連続60試合以上登板(2016年は63試合登板)の澤村拓一が9月1日のDeNA戦(横浜)から今季初めて一軍昇格。
菅野智之が先発したこの試合は、エースが7回無失点の好投を見せ、9回途中降雨
コールドのため出番はなかったが、試合前の練習では元気な姿を見せた。
右肩のコンディション不良を訴え、3月上旬からしばらくは三軍でノースローでの調整を余儀なくされるなど、本人も予想以上とする4カ月以上に及ぶ長く苦しいリハビリを経て、実戦復帰を果たしたのは8月6日のこと。それからイースタン・リーグ7試合に登板し、8月29日の
日本ハム戦(ジャイアンツ球場)では2回を投げて2安打1四球、
今井順之助に2ランを打たれはしたが、6つのアウトすべてを三振で奪うなどの力投を見せ、連投、イニングまたぎと一軍首脳陣に課されたテストを次々にクリアし、完全復調をアピールしていた。
7月に
鹿取義隆GMがファームを視察に訪れた際、すでにブルペン入りを果たしていた澤村に対し、「8月中旬の復帰」をリクエスト。これに応えることはできなかったが、残り25試合となり最終局面を迎える9月戦線にギリギリ間に合ったかっこうだ。
11年の入団から先発で2年連続の2ケタ勝利を挙げた澤村だが、「リリーフのほうが輝ける」と
原辰徳監督時代の15年にクローザーに完全転向。現在はそのポジションを
カミネロが務めているが、2年で73セーブの実績の持ち主の復帰で、ブルペンの厚みは格段に増す。
菅野、
マイコラス、
田口麗斗と先発では2ケタ勝利投手3人が奮闘中。新人の
畠世周が4番手で台頭しつつあるだけに、ブルペンの充実、そして澤村の存在がクライマックス・シリーズ出場を目指す戦いのカギを握る。
文=坂本 匠 写真=大泉謙也