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侍ジャパンU-18戦記

【侍ジャパンU-18戦記(08)】清宮だけじゃない!脇を固める“仕事人”が力を発揮

 

現地時間9月1日から始まる「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」。清宮幸太郎を主将とした“高校生ジャパン”がカナダで世界を相手に奮闘を繰り広げる。悲願の世界一へ――。若きサムライたちの戦いを追う。

“ラッキーボーイ”となった西巻


西巻の好プレーが日本の逆転勝ちを呼び寄せた


 守りからリズムを作る――。

 日本が目指す理想の展開となった。

 9月4日(日本時間5日)、オープニングラウンドのオランダ戦を3対1で勝利した日本は3勝1敗とし、スーパーラウンド進出を決めた。

 4回裏、オランダに1点を先制され、5回裏も2つの四球などで一死一、二塁のピンチを迎えた。これ以上の失点は許されない。小枝守監督はマウンドへ行ってナインを引き締めた。

 続く一番打者の当たりは先発・徳山壮磨(大阪桐蔭)の足元へ。左手を伸ばすも追いつかず、“内野安打コース”へと転がった。ところが、カバーしていた二塁手・西巻賢二(仙台育英)が右手で拾い上げ、そのまま一塁へ送球。見事なフィールディングで二死とし、徳山は後続を抑えて、このピンチを切り抜けた。

「本能というか、体がしっかり反応した。普段のグラウンドだったら、二塁まで転がってくるけど、(内野天然芝で)止まってしまったので、ああいう形になった。自分は投手に任せようかと思ったけど、徳山は二塁まで転がると判断したのかもしれない」

 5回終了で、しばしのインターバルだ。甲子園でもこの“間”で、流れが変わるとされる。6回表、先頭の丸山和郁(前橋育英)が二塁内野安打で出塁すると、すかさず二盗。続く西巻は絶妙なバント安打で一、三塁と好機を広げると、相手投手の一塁への悪送球で同点。その後、二死三塁からの暴投で、西巻が勝ち越しのホームを踏んだ。

 守備で流れを引き寄せた西巻が“ラッキーボーイ”となったのである。

 キューバ戦に続くバント安打を放った九番・西巻は胸を張った。

「このグラウンドは打球が転がらないので……。役割は果たせたと思う。バントは結構、効きますね。はねたり、転がったりしない分、一塁への全力疾走も大事です」

 8回表も八番・丸山、九番・西巻が機能し、一番・藤原恭大(大阪桐蔭)の適時打で貴重な追加点。丸山は言う。

「監督さんが頭とシッポでチャンスメークして中軸でかえす、と言っていたが、もし中軸でかえせなかったら、小技ができる人がしっかりチャンスメークして、かえすところまでやるとミーティグで話し合ってきた。そういうのを意識している」

 小枝監督は手応えを口にする。

「藤原は本来、三番を任せてもいいんです。八、九番が一、二番、そして藤原が三番の役目を果たしてくれている」

 日本には三番・安田尚憲(履正社)、四番・清宮幸太郎(早実)、五番・中村奨成(広陵)と自慢のクリーンアップが控えるが、その3人を脇から固める“仕事人”たちが、持ち味を発揮。切れ目のない打線、多くの得点パターンが、日本の最大の強みとなっている。

<次回に続く>

文=岡本朋祐 写真=早浪章弘
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