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源田壮亮に安打数は抜かれたが、1年目の石毛宏典はすごかった!

 

石毛は1年目、121試合に出場し、打率.311、21本塁打、55打点、25盗塁をマーク


 重ねた安打数は128に到達した。9月6日、ロッテ戦(メットライフ)の3回、一死二塁で打席に入った西武源田壮亮はチェンが投じた4球目を引っ張り、二塁内野安打に。前日、1981年に石毛宏典が記録した球団新人最多安打に並んでいたが、早くも記録を更新した。

「偉大な先輩の記録を超すことができて本当にうれしいです。1年目でここまでできるとは思っていませんでした。これからもチームのために1本でも多くのヒットを打てるよう頑張ります」

 源田が“偉大な先輩”と形容した石毛。黄金期にチームリーダーとしてチームを引っ張り、数々の栄光をもたらした男だが、石毛もまたルーキーイヤーから光り輝いた。安打数では源田に抜かれたが、その他では圧倒している部分が多い。

 81年、プリンスホテルからドラフト1位で入団。デビューは4月4日、開幕のロッテ戦(川崎)だった。「一番・遊撃」でスタメン出場を果たすと、村田兆治を相手にいきなり3連続ヒットをマーク。しかも、最初の2安打は盗塁を決め、3安打目は本塁打だった。

「たまたまですけど、思い切りよく振れました」と、さわやかに石毛は語ったが、ロッテの大ベテラン、張本勲は「(本塁打は)難しい外角球だ。あれを打つんだからただ者じゃないよ」とべた褒め。翌日、同じくロッテの倉持明から2試合連続本塁打。これ以上ないデビューだった。

 駒大時代からのモットーである「完全燃焼」貫き、常に全力プレー。6月には月間打率.481で月間MVPに輝いた。8月中は打率首位を突っ走り、9月22日までトップの落合博満(ロッテ)に2厘差の.326をキープ、史上初の新人首位打者を狙える位置にいた。最終的には9月下旬からの不振がたたって7位に落ちたが、それでも打率.311で、58年の長嶋茂雄巨人)以来の新人3割打者。公式戦最終戦の10月4日、ロッテ戦(西武)で21号本塁打を放って有終の美も飾っている。

 盗塁も25。主に二番を打った石毛の後ろの三番を打ち、自己最多の24本塁打をマークした大田卓司は「石毛が塁に出てくれたおかげ」と感謝の弁を述べていた。守備もソツなくこなし、新人王にベストナイン、ダイヤモンドグラブ賞など、各賞を獲得した。

 何よりも、主砲・田淵幸一の不振で落ちかけたチームの人気を、その華やかなプレーで支えた功績が大きかったが、本人に満足感はなかった。オフに入り、「少しは骨休みでもしたら?」と声をかけられても、本人はクビをタテに振らない。シーズンを通してフルに活躍できる体力さえあれば、首位打者獲得が叶ったと考えたのだ。公式戦終了後、休みなしで突入した秋季練習でも手抜きなしの猛烈さを見せた。その姿勢が、“ミスター・レオ”の礎となったのは間違いない。

写真=BBM
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