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編集部コラム「Every Day BASEBALL」

阪神・大山悠輔のスローイングの良さの秘密

 

現在は打撃を生かすために一塁で試合に出ている大山だが、近い将来、本職の三塁に戻り四番を打ちチームの中心選手に育ってほしい


 ミスタータイガースと呼ばれた掛布雅之二軍監督は、その勝負強い打撃と3度の本塁打王と1度の打点王を獲得しており、打撃の人という印象が非常に強い。「僕は守備も非常に重視していましてね、守備から打撃のリズムを作っていたんですよ」と語っている。確かに現在のゴールデン・グラブ賞にあたるダイヤモンドグラブ賞を6度も受賞しており三塁守備の名手で一塁へのスローイングも華麗だった。

 その掛布二軍監督が、打撃についても太鼓判を押し9月1日から一軍の四番に座る今年のドラフト1位の大山悠輔。現在彼の打撃に大きな注目が集まっているが、実は守備も素晴らしい。本来は三塁手で、現在そこには鳥谷敬が君臨しているため、一塁や外野で出場し、無難な守備を見せている。

 現在は一塁ミット、三塁用グラブ、外野用グラブを用意して試合に臨んでいるが、彼の守備の魅力は何と言ってもスローイングにある。現在は一塁での出場が多いが、ダブルプレーを狙う、伸びやかな二塁送球での3-6-3のゲッツーはきれいだ。

「肩は昔から強かったです。でも何か特別な練習したというのはないんです。とにかくたくさんキャッチボールをした記憶しかないです」

 子どものときに壁当てで鍛えたとか、ベッドに寝て仰向けでボールを投げて遊んだ、などというものがあるのか、訪ねたときの答えだ。とにかく基本に忠実なキャッチボールを繰り返し行った結果だという。繰り返しの連続で自然に身について行った華麗なスローイング。それは入団当時から繰り返し守備を鍛えられた名手になった掛布二軍監督に通じるものがある。

右の大砲として、四番を任されるまでになっただけに、守備でのリズムを生かしてさらに成長してほしい。近い将来、三塁に戻り四番を打つようであれば、生え抜きの「三塁・四番」として、新ミスタータイガースが誕生するかもしれない。

文=椎屋博幸 写真=前島 進
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