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侍ジャパンU-18戦記

【侍ジャパンU-18戦記(12)】ミスで負けても前向きな姿勢で

 

現地時間9月1日から始まる「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」。清宮幸太郎を主将とした“高校生ジャパン”がカナダで世界を相手に奮闘を繰り広げる。悲願の世界一へ――。若きサムライたちの戦いを追う。

明暗を分けた西日


カナダ戦、2失策を犯したショートの小園


 17時試合開始だが、カナダの日没はかなり遅く、まだ、昼間のようだ。

 日本時間9月9日、スーパーラウンド第2戦の相手は地元・カナダ。序盤から重苦しい展開となり、徐々に日が傾いてきた。この激しい西日が、明暗を分けることとなる。

 2点ビハインドの5回裏、清宮幸太郎(早実)のソロ本塁打で1点差。6回裏は相手のミスに乗じて2点を挙げて、この試合、日本が初めてリードを奪う。

 ところが直後の7回表。先頭打者の打球は遊撃への高いバウンドとなった。これまで好守を連発してきた2年生・小園海斗(報徳学園)は、西日が目に入り、痛恨の捕球ミス。この失策をきっかけにカナダは押せ押せムードとなり、日本の投手陣もこの回だけで3暴投と制球を乱し一挙、3失点で2点のリードを許してしまう。このビハインドが重くのしかかり、そのまま4対6で敗れた。

 小園は5回表にも失策。打球を右ヒザに当てていたが、これも打球を見失っていた。

「(西日は)結構、キツい。サングラスは初めてで、距離感がつかめなった。(5回は)後ろにやったらアカンということで体で止めようと(右ヒザに当たった)」

 大藤敏行ヘッドコーチはこのような見解だ。

「光が入って……。サングラスでカバーしているが慣れない。日本の球場とは形態(球場の向き)が違う。かわいそうなところはある」とかばったが、「言い訳になるので」と、現実を受け止めるしかない。カナダも同じ条件も「ホームアドバンテージ」が勝敗を分けたかもしれない。

 この1敗で日本は悲願の世界一へ、後がなくなった。すでにアメリカは決勝進出を決めており、日本がファイナルへ進むには、明日の韓国戦で勝利することが絶対条件。カナダがキューバに敗れれば、韓国との直接対戦成績の結果により、日本が決勝へ進出する。カナダが勝利して3チームが3勝2敗で並んだ場合は、TQB(得失点差率)での争いで、1チームが決勝へ進出する。

 小園は言う。

「明日はもっとつらい試合になる。気持ちの戦い。絶対に負けられない。もっと攻めていきたい!!」

 この姿勢がある限り、日本はどんな劣勢でも屈しない、と強く感じた。

<次回に続く>

文=岡本朋祐 写真=早浪彰弘
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