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「努力できる天才」中日・京田陽太

 

9月18日の巨人戦(ナゴヤドーム)で球団の新人安打記録を更新した京田


 中日京田陽太が9月18日の巨人戦(ナゴヤドーム)で新人最多安打の球団記録(139)を更新し、この日2本を積み上げて141安打とした。

 ちょうど1年前。日大4年生だった京田は、複数のNPBスカウトから「守備と足は一軍でも即戦力」と高い評価を受けていたが、打撃面では「未知数」というのが大方の声であった。

 中日ドラフト2位。「2位」はウエーバー順であり昨年、中日はセ・リーグ最下位。京田は全体で14番目の指名だった。「ライバル」と語っていた中京学院大・吉川尚輝は巨人1位。同級生の内野手として、プロ入り後も意識し続けてきたのは間違いない。

 東都大学リーグの通算打率は.285(日大では3年秋から4年秋まで3シーズン一部に在籍)と、目立った数字は残していない。だが、その内容を見ると、プロ1年目から活躍する秘密が隠されていた。3年秋に.259、4年春に.261だった打率はリーグ優勝に貢献した同秋は.328と急上昇していたのである。

 ラストシーズンを前にした昨夏、打撃を根本から見直した。もともとスイング自体に変な癖はなくコンパクトだった。当てにいくのではなく、振り切るイメージで、バットの出し方などを修正すると打撃が開眼した。チーム一の練習の虫。日大・仲村恒一監督が止めに入らなければ、いつまでもグラウンドにいるほど、野球への情熱は人一倍だったという。

 つまり、京田には学生時代からの“蓄積”があり、多くの新人が壁にぶつかる「練習量」で圧倒されることはなかった。高いレベルで数をこなせるから、技術も比例してアップ。開幕から起用し続けてくれた森繁和監督との出会いも幸運だった。日大では東都一部でノーアーチも、プロではすでに4本塁打。京田が飛躍した背景は「努力できる天才」にほかならない。

 日大時代、好きな選手を聞くと京田は阪神鳥谷敬と答えた。遊撃手で右投げ左打ちという共通点のほか、試合に出続ける“鉄人”の部分で、大きなあこがれを抱いていたという。

 ところが、である。昨年10月20日のドラフトで中日から指名を受け、「目指す選手像」を問われると「立浪(和義)さんです」とニッコリ答えた。攻守走、3拍子そろったプレースタイルに惹かれ、中日で一時代を築いた大先輩の名前を真っ先に挙げたのだ。

 こうした機転の良さも、魅力の一つ。セ・リーグ新人王の有力候補でもある京田は、これから先「ミスタードラゴンズ」の系譜を歩んでいく。

文=岡本朋祐 写真=BBM

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