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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

楽天・藤田一也が名手であり続けられる理由

 

守備の魅力にとりつかれ、努力を続けた結果、名手となった藤田


 アマチュア時代は遊撃手で、プロに入ってからは内野をすべて守っていた。そんな守備の名手・楽天藤田一也が二塁手に定着したのはプロ5、6年経ったころだ。ほかのポジションを経験したからこそ、セカンドという場所の難しさも魅力も知った。

 今季はチーム事情からショートを守ることも多い。動きや足の使い方もまったく違うポジションを試合ごとに変えるのは苦労もあり、「久々にショートに就いたときには感覚が戻らないということもあった」という。また「セカンドはバウンドを合わせてしっかり捕ればファーストで確実にアウトが取れるけど、ショートはファーストまで距離があるので足を使って、なおかつ投げやすい体勢で取らないといけない。今までセカンドを守ることが多かったので、どうしても足を使わずともアウトが取れてしまっていた。そういうところでは、ショートを久しぶりにやる難しさというのはありましたね」と語る。

 それでも、プロで生き抜くために磨いてきた技術と経験があるからこそ、まったくブランクを感じさせることなくプレーできるのだ。むしろその違いも「刺激になっている」と充実した表情を見せるほど。

「ショートのほうが派手なプレーが多いですし、かっこいいなと思うんですけど、セカンドのほうが好きかなと思います」と藤田。その理由は「難しいから」だそうだ。

「セカンドは逆の動きも多いですし、距離が短いので守備位置をたくさん変えるんです。なので考えることも多い」

 配球、ピッチャーの球筋によってどういう打球が来るか、さらにバッターの打球方向……。それらを常に観察し、思考を巡らせる。そして最後は直感が足を動かす。

「当たるときもあれば外れるときもありますよ。そこに楽しさがある」

 神経を集中させて1球1球に臨む。無限の選択肢がありながらそこに正解はなく、答えはいつも結果が決める。その魅力にとりつかれたからこそ、努力を続けることができるのだ。だから藤田は名手であり続けられる。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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