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【元広島・野村謙二郎に聞く】現代の野球に求められるセカンドの条件は?

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は内野守備編。回答者は現役時代に名遊撃手として鳴らした、元広島野村謙二郎氏だ。

Q.近年、アマチュア時代にショートを守っていた選手がプロ入り後にセカンドにコンバートされるケースが多いように感じます(西武・浅村栄斗、広島・菊池涼介、ヤクルト・山田哲人など)。現代の野球に求められるセカンドの条件を教えてください。(鹿児島県・32歳)



A.セカンドの肩の強さがゲームの流れを変える。併殺でアウトを2つ取れるか1つかでは大違い。


西武の浅村も、もともとはショートを守っていた


 まず、アマチュア時代にショートを守っていた選手が、プロでセカンドにコンバートされるケースの最大の理由の1つにチーム事情が考えられますが、とはいえ誰でもいいというわけではありません。

 特に現代のセカンドに最も求められる能力は、純粋に打球を捕球する能力は当然あるべき大前提として、肩の強さを挙げることができます。以前はあまり肩が強くなくてもいいという考えだった時代があったことは確かですが、最近はセカンドの肩の強さがゲームの流れを大きく変えると考えられる時代になったといっても過言ではありません。

 例えばダブルプレー。5−4−3、6−4−3、1−4−3のように、セカンドが中継に入るケースのスローイング力でしょう。一連の流れで見てしまいがちですが、バッターランナーまでアウトにできるか、二塁ベースで取った1つのアウトでとどまるかでは大違いで、見ていて「(打者走者が)セーフになりそう」というタイミングでも、強い送球でアウトにできるセカンドが、現代では求められています。

 ここで残ったランナーが決勝のホームを踏むケースは意外に多く、ショートを守らせても十分な能力を持つ選手をセカンドに置くことは、結果的に、チームに多くの利益をもたらすという考えですね。広島の菊池はまさにこれに当てはまり、彼は肩の強さ、リストの強さももちろん、捕球から送球までのハンドリングのうまさも併せ持っていて、多くの「もう1つのアウト」をもたらしています。

 なお、浅村栄斗選手や山田哲人選手は肩も守備力も十分な選手ですが、彼らは菊池以上に打撃力に秀でている特徴があります。2人の場合のチーム事情は分かりませんので、あくまでも私の推測ですが、ショートはやはり身体的な負担の大きいポジションですから、そこで負担を強いるよりも、肩も生かせて、幾分かは負担を軽減できるセカンドに置くことで、打撃にそのパワーを割くという発想もあるのかもしれません。

写真=BBM

●野村謙二郎(のむら・けんじろう)
1966年9月19日生まれ。大分県出身。佐伯鶴城高から駒大を経て89年ドラフト1位で広島入団。2005年現役引退。10年〜14年は広島監督。現役生活17年の通算成績は1927試合出場、打率.285、169本塁打、765打点、250盗塁。
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