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【高校野球】野球部を強力サポートする習志野吹奏楽部

 

名物オリジナル応援歌『Let’s Go 習志野』を演奏する吹奏楽部


 3点を追う9回表。満員で埋まった一塁側習志野応援席からは名物オリジナル応援歌『Let’s Go 習志野』が流れた。ビハインドの最終回には、アタマから演奏する取り決めとなっている。

 このノリの良い曲を聞きたいがために、球場へ足を運ぶ常連ファンもいるというから驚きだ。9月30日、千葉県野球場は立ち見客が出るほどの大観衆。習志野は第2試合に組まれたが、すでに第1試合から出足は早かった。売店の食料品もあっという間に売り切れとなっていた。

 中央学院との準決勝。相手エースの144キロ右腕・大谷拓海(2年)を前に4回までわずか1安打と、同応援歌を披露する場が訪れないまま、中盤を迎えようとしていた。

『Let’s Go 習志野』は原則的に三塁へ進塁してからスタートという流れだが、顧問の石津谷先生は、吹奏楽部員を鼓舞するため、生徒を呼び出した。

「応援にリズムがないから、(ゲームも)押されている。間延び感がある」と厳しい口調で言うと、「Let’s Go(を始めるのは)は二塁からにしよう!!」と指示を出した。

 すると、試合は動く。4回裏に大谷の2ランで先制をされた習志野だったが、直後の5回表、3長短打を集中して同点に追いつく。さすがベテラン顧問、試合の流れを読む力はバツグンである。習志野は一死三塁と逆転のチャンスが続いたが、後続2人が凡退。この好機を逃したことが響き、その裏に2点の勝ち越しを許して、6回にも追加点を奪われた(2対5)。

 習志野打線は6回以降、3イニングはノーヒット。9回表冒頭からの『Let’s Go 習志野』のパワーにより、一死から四番・柏木貞治(2年)が意地の中前打を放つも、万事休す。2対5のまま敗れた。

 習志野は今秋の千葉4強で、唯一の公立勢。今夏は木更津総合との決勝で敗退し、甲子園をあと一歩で逃した。この秋もセンバツ切符がかかる関東大会進出まで「あと1勝」としながら、またも苦杯をなめた。

 習志野OBの小林徹監督は言う。

「すべての面で相手のほうが上でした。夏の大会もどうにか踏ん張って、我慢してやっている状況。持ち味は良いところとして残しつつ、技術面でレベルアップしていきたい。(来年夏までに)時間はある。新陳代謝をしながら、みんなで足りない部分を底上げしていきたいと思います」

 この日も千葉県野球場には“美爆音”が包み込んだ。本来、吹奏楽部は部員200人だが、翌日にマーチング関東大会が控えていたため、約90人は千葉県内で強化合宿中。中央学院との準決勝は110人の縮小だったが、演奏のクオリティーの高さは相変わらずであった。

 顧問の石津谷先生は言う。

「やっぱり、甲子園で演奏させたいですね!! 今日は秋になって初めての応援。まだまだ、これからですよ」

 全国屈指の強豪・吹奏楽部は今後も野球部を強力サポートし、夢舞台での応援を実現するため“伝統の力”を進化させていく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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