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【大学野球】早大の本格派右腕から一発を放った赤門の2年生

 

東大・新堀は早大2回戦で今季2号(通算2号)を放った


 1対10と大敗した中で、2年生が意地を見せた。

 東大・新堀千隼(麻布高、にいぼり・ちはや)が早大2回戦で、0対1の2回表に左翼ポール際へ同点ソロアーチを放った。二死走者なしから、初球の内角のストレートをたたいた早大の本格派右腕・柳澤一輝(4年・広陵高)からの今季2号(通算2号)も、チームが連敗で勝ち点を落としたため、喜びは控えめである。

「そこまで……(苦笑)。警戒されていない中で、カウントを取りにきた球だと思います」

 麻布高では内野手兼投手。夏の東東京大会は1年時から「一番・一塁」で出場し、桐ヶ丘高との1回戦では3安打3打点で初戦突破に貢献。だが、3年間で夏の白星はこれが唯一で、高校通算も0本塁打だった。

 御三家の一角である麻布中から同校へ進み「何となく周りが皆、東大を受けるので……」と、新堀も“流れ”に沿って赤門に挑戦。しかし、現役、一浪と合格できず「2浪まで」と決め込んだ“3度目の正直”で東大理科II類へ入学した。

 内野ならどこでも守れるユーティリティープレーヤー。1年秋にリーグ戦初出場を遂げ、今秋、初めて開幕から先発のチャンスが訪れた。主将で不動の遊撃手だった山田大成(桐朋高)の故障によるもので、東大・浜田一志監督からも、守りが期待されての起用だったという。

 慶大1回戦でリーグ戦初本塁打。そして早大2回戦では2本目。今秋、楠田創(4年・桐朋高)が2本塁打を放っているが、東大でのシーズン複数アーチは2000年以降で4人目。2年生で達成したのは新堀が唯一であり、価値のあるホームランだ。しかし、本人は「打撃はたまたまです。守りが優先なので……」と謙虚な姿勢を崩さない。

 視力は0.4。コンタクトが合わないため、プレー中もメガネをかけている。ホームランボールを手にした写真撮影の際も、恥ずかしそうにポーズ。東大は3カードを終えて1勝6敗で勝ち点なし。残り2カードで「勝ち点を目指します」と、2002年秋以来(対立大)の1カード2勝以上を狙っている。同級生では辻居新平(栄光学園高)が慶大3回戦で本塁打を放っており、2年生が打線を活気づけている。理系の秀才は「打撃では辻居には適わない。自分はまずは、守りから」と、ディフェンスで東大全体にリズムを作っていく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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