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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

オコエは清宮をどう見ているのか

 

2015年8月、U-18ワールドカップ開幕直前の一枚。仲良さげな雰囲気が出ている



「アイツはすごい」

 実際に対戦し、また、チームメートとして戦った仲間だからこその説得力があった。楽天オコエ瑠偉の「清宮評」である。高校で初めて相まみえたのは2015年4月18日、春季東京都大会準々決勝、関東一高対早実戦。場所は神宮第二球場だった。5回一死二、三塁の場面で清宮が打席に入り、その2球目だった。高めに浮いた140キロの真っすぐをとらえると、打球は一直線にバックスクリーン右へ飛び込んだ。推定飛距離130メートルの特大弾。これが清宮の記念すべき高校第1号であり、通算111号へのスタート地点となった。

「あんな打球、見たことない」

 オコエは目を丸くしていた。右中間への打球を追うために、守る中堅から右中間へ向けて走り出すこと3歩。あまりに強烈な当たりに、早々に足が止まった。

 その4カ月後、高校3年生のオコエと1年生の清宮は、それぞれ東東京、西東京の代表として甲子園に出場。彼らの活躍ぶりは今さら説明するまでもないだろう。両校とも準決勝で敗退し、あと一歩のところで東京同士の頂上決戦は実現しなかったが、この2人は18歳以下の高校日本代表としてチームメートとなった。

「認めてない人もいるかもしれないけれど、やってみれば分かる。伸びしろがないという話も聞くけど、そんなことはない。清原(和博)さんも高校時代(PL学園高)はそういうホームランも打っていた。やっぱり100本以上打つのはすごい」

 注目されればその分、世間の風当たりが強くなる。うまくいかなければバッシングの対象にもなる。それは自身が少なからず感じたことだから、共感できる部分もあるのだろう。オコエは清宮の才能を疑っていなかった。

 自身は10月1日、体調不良により出場選手登録を抹消され、今季の成績は41試合に出場して39安打、3本塁打、11打点、5盗塁、打率.300。完全燃焼にはほど遠いが、数字以上に進境を示したシーズンでもあった。

 オコエにはこの先、クライマックスシリーズという大事な戦いが待っている。そこでプロとしての「背中」を示したい。そして、ドラフトを経てプロの世界に飛び込んでくるかわいい弟分、「キヨミー」を快く迎えるつもりだ。

文=富田 庸 写真=太田裕史
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