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ドラフトリポート

【ドラフト】広島の広陵高・中村奨成の1位指名は大正解だ!

 

広陵高は愛媛国体で初優勝を遂げ、中村(中央)は仲間とともに喜びを分かち合った


 4日後に「現実」になるとは正直、驚いた。10月14日、スカウト会議を開いた広島は、地元出身の広陵高・中村奨成捕手をドラフト1位で指名する方針を固めた。

 10月10日、神宮で東都大学リーグを視察する広島・苑田聡彦スカウト統括部長に話を聞いた。広島は早実・清宮幸太郎の「1位指名回避」をいち早く明言。その理由は、プレースタイルにあった。攻守の「スピード」を要求する球団方針と合わなかったのだという。

 1位の補強方針は2つだった。前出の希望に合致する野手、つまり、強肩強打に加えて足もある広陵高・中村。それとも、社会人の即戦力投手を獲得するか――。後者ではJR東日本の152キロ左腕・田嶋大樹(佐野日大高)とヤマハの157キロ右腕・鈴木博志(磐田東高)をリストアップしていたようだ。一連のやり取りをしていると、苑田スカウト統括部長から意見を求められたので、あえて“直球勝負”でこう言わせていただいた。

「中村君を1位指名すれば、誰もが喜ぶと思います!!」

「そうですか……。会議で言わせてもらいますよ」

 この道40年以上、人情味あふれる、気遣いの苑田スカウト統括部長であるから、リップサービスに違いない。取材者の意見を参考にするはずもない。まさにプロの目で1年間、視察を続けてきた中で「中村奨成」に絞り込んだ選択は、大正解だと思う。仮に12球団同時入札で複数球団と重複し、抽選で外れたとしても、参戦したことに大きな意味がある。“逃げ”の戦略では、地元・広島ファンも納得できないからだ。

「あの肩で、お客さんは喜ぶ!!」

 今夏の甲子園ネット裏で、苑田スカウト統括部長はニンマリしていたのを思い出す。10月26日のドラフト会議本番へ向け、広島の“先制攻撃”により、他球団は手を引く可能性もある。「ご当地選手」を大事にする。正攻法に物事を進める“心意気”がものすごく、すがすがしかった。

文=岡本朋祐 写真=佐藤真一
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