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ドラフト候補の肖像

【ドラフト候補の肖像】ヤマハ・鈴木博志 1位指名にこだわる剛球右腕

 

目標はメジャー・リーグ


大きな目標を立て、それに向かって邁進する。考え方もプロ向きだ


 今夏の都市対抗、鈴木博志は新日鐵住金東海REXの補強選手として、東京ドームのマウンドを踏んだ。大会前は先発起用の可能性も語っていたが、フタを開けてみれば、ヤマハでの“働き場所”でもあるストッパーを任された。

 ホンダとの2回戦では7回から救援して、155キロを計測。スピードだけではなく、3回無失点と結果も残した。10球団以上が集結してネット裏に集まったNPBスカウトの前で、あらためて高いポテンシャルを披露した。さらに高卒3年目、ドラフト1位の12人の中に入るのでは、とその評価は高い。

 高校時代はどん底を経験している。

 磐田東高では1年夏からベンチ入りし、2年夏は同期の左腕・齋藤誠哉(現ソフトバンク育成)との2本柱を形成。同秋は県大会8強進出も、10月の埼玉遠征で、右ヒジに痛みが走る。一冬を越えた翌年3月、対外試合解禁直後には「バキッ」と、再び激しい痛みに襲われた。しかし、レントゲン、MRI検査でも異常は見られず、投げ続けた。最後の夏は痛み止めの注射を打ち、薬も服用。県大会2回戦敗退後、再度、検査を受けると「骨に線が入っていた」と、疲労骨折が判明する。

 高校時代から145キロを計測し、プロ入りを目指していた時期もあったが、一時断念。10月に約1時間に及ぶ内視鏡手術を受けた。ヤマハでの入社1年間はリハビリに充て、フォーム改造にも着手。

「トップのときに右腕が下のほうにあり、その後、無理やり引き上げるから、肩とヒジの負担となっていた」

 1年で体重10キロ増。無理のないフォームの習得により、9月には実戦復帰した。

 2年目の2月、JR東日本とのオープン戦で152キロをマーク。都市対抗では2試合に救援し、日本選手権では初優勝に貢献した。そして、3年目のさらなる飛躍につなげたのである。

「プロへ行くのであれば、1位。ただ、そこも通過点。メジャー・リーグも目指しているので。中途半端な目標は立てたくない」

 強気な剛球右腕は、まさしく即戦力だ。

文=岡本朋祐 写真=中島聖
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