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ドラフト候補の肖像

【ドラフト候補の肖像】東大・宮台康平 静かに運命の日を待つ「赤門左腕」

 

「野球の勝負に勉強は関係ない」


シーズン最終戦となった明大2回戦後、4年生が卒業する「神宮送別会」で、宮台は「つらいとき、逆境の中でも声援が力になった」と常にバックアップしてくれた応援部、ファンに感謝の言葉を並べた


 東大史上6人目のプロ野球選手を目指す宮台康平(4年・湘南高)が10月24日、東京六大学リーグ戦の全日程を終えた。

 東大は今秋、法大とのカードで15年ぶりの勝ち点をマーク。最終カードの明大戦の結果次第では、1998年春から続く単独最下位脱出の可能性も残していたが、連敗に終わった。

 150キロ左腕・宮台は「東大史上最高投手」と言われ、4年間でリーグ戦通算6勝(13敗)を挙げた。神奈川・湘南高時代は3年春の県大会8強が最高成績である。

「高校時代の実績がない中でも、六大学の選手たちと対戦できたのは良かった。他校は体も大きくて、速い球、速いスイング。自分も体を大きくして、負けないように頑張ってきた。勝ち点奪取を目標に新チームから取り組んできて、達成できた喜びはある。ただ、今日負けたのは悔しい」

 大学4年間の支えとなったのは、高校時代の川村靖監督からの教えだという。

「野球をやっている以上は、野球で勝負する。野球の勝負に勉強は関係ない」

 3年秋に左肩を故障してシーズンをほぼ棒に振った。同秋以降は、体の負担を軽減するためフォーム改造に着手。復帰した今春は未勝利と、目立ったアピールができなかった。プロ志望届を提出するか、直前まで悩んだという。しかし「(野球を)やりたい気持ち。続けたい気持ちがあった」と、退路を断ってプロ一本に希望進路を定めた。新フォームが固まった今秋は2勝をマークし、1カードでの2連投も3回と復活を印象づけた。

「自分の力を上の舞台で試してみたい。持ち味? 真っすぐをもっと、磨いていきたいです」

 プロ入りすれば、野球に専念できる。不安もあるが、一方で楽しみもあるという。

「野球だけをやってきた人よりも、スタミナが劣っている。まだ、ノビシロに期待できる。東大野球部の人が思うことだと思いますが、プロに行けば、勝つか負けるか五分のところから始まる。(これまで以上に)勝負するメンタル(の強化)も必要だと思います」

 ドラフト会議は10月26日。「自分では、どうこうできないので……」。やることはすべて出し切った。激闘を終え、神宮ライト付近のアーケード下で4年生部員が引退する「神宮送別会」が行われた。「つらいとき、逆境の中でも声援が力になった」と常にバックアップしてくれた応援部、ファンに感謝の言葉を並べた宮台は時折、目頭を熱くさせていた。プロへの「就職活動」を終えた赤門左腕は、静かに「運命の日」を待っている。

文=岡本朋祐 写真=井田新輔
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