週刊ベースボールONLINE

ドラフト会議物語

【ドラフト会議物語57】開幕一軍スタメンの京田陽太、源田壮亮、投手では濱口遥大、山岡泰輔となかなかの豊作【16年】

 

いよいよ本日、ドラフト会議が開催される。今年で53年目を迎えるドラフト会議の歴史を振り返ってきた連載も、残すところ本日と明日の2回となった。ぜひ最後までお付き合いいただきたい。

田中正義に5球団が競合


即戦力と期待された創価大・田中


2016年10月20日
第52回ドラフト会議
(グランドプリンスホテル新高輪)

[1位選手]
オリックス  山岡泰輔 (東京ガス)
中日     柳裕也  (明大)
楽天     藤平尚真 (横浜高)
ヤクルト   寺島成輝 (履正社高)
西武     今井達也 (作新学院高)
阪神     大山悠輔 (白鴎大)
ロッテ    佐々木千隼(桜美林大)
DeNA     濱口遥大  (神奈川大)
ソフトバンク 田中正義 (創価大)
巨人     吉川尚輝 (中京学院大)
日本ハム   堀瑞輝  (広島新庄高)
広島     加藤拓也 (慶大)

 今回紹介するのは、いまだ記憶に新しい昨年の2016年ドラフト会議である。

 最大の目玉は、一時は全球団が1位で競合かと言われた創価大の田中正義だ。最速156キロを誇る右腕ながら、この年の春に発症した右肩炎症の影響でやや評価を下げた。それでもロッテ、ソフトバンク、巨人、日本ハム、広島の5球団が競合し、ソフトバンクへ。「行きたい球団の1つでもあったのでうれしいです」と笑顔を見せた。しかし故障もあって1年目の一軍登板はなし。ソフトバンクは、ほかもほぼ育成主眼の指名で、今季一軍での出番はなかった。

 この田中、さらには桜美林の佐々木千隼とともに注目された大学生右腕の柳裕也は、中日、DeNAで競合し、中日へ。明大の投手兼主将での中日入りは、ともにプロでもエースに成長した星野仙一川上憲伸と同じ。2位には俊足巧打で正遊撃手に定着し、149安打、23盗塁をマークした京田陽太(日大)、4位には来季先発で期待される左腕・笠原祥太郎(新潟医療福祉大)もいる。

 オリックス1位の山岡泰輔は、172センチと小柄ながら、高校時代にダルビッシュ有(現ドジャース)がツイッターで話題にしたスライダーを武器に社会人No.1と呼ばれた右腕。期待どおり1年目から先発に定着し、8勝11敗をマークした。オリックスは2位でも中継ぎでフル回転した黒木優太(立正大)、5位には同じく中継ぎで一軍デビューしながら、打球が当たって負傷離脱した小林慶祐(日本生命)もいる。

 楽天が一本釣りをしたのが横浜高のエース・藤平尚真。8試合で3勝4敗ながら、終盤は連敗ストッパーとして名を上げた。ほか中継ぎで存在感を示した4位・菅原秀(大体大)、5位・森原康平(新日鉄住金広畑)、9位・高梨雄平(JX-ENEOS)の名前もある。

 ヤクルトは山田哲人の後輩となる履正社の左腕・寺島成輝が1位。2位の星知弥(明大)は一時先発に定着しかけたが、負傷離脱となっている。

地元・神奈川のDeNAからの指名にうれし涙を流した神奈川大・濱口


 甲子園優勝投手の今井達也を1位指名した西武は3位の源田壮亮(トヨタ自動車)が大化けした。開幕戦からスタメン遊撃手として起用され、課題と言われた打撃では新人史上4位の155安打、盗塁も37をマークし、チームの2位躍進に貢献した。ほか5位の平井克典(Honda鈴鹿)が中継ぎとしていい仕事をした。

 阪神は日米大学野球で四番も務めた大山悠輔が1位。当初、虎ファンの評価は高くなかったが、夏場に一軍に定着すると四番にも入り、存在感を発揮した。2位には富士大の小野泰己。2勝7敗ながらキラリと光る才能を見せ、来季の先発定着が期待される。5位には内野のユーティリティーとして活躍した糸原健斗(JX-ENEOS)もいる。

 史上初、外れ1位で5球団が競合したのが、右腕・佐々木千隼だ。ただ、即戦力と期待されての4勝7敗は、やや物足りない。中継ぎスタートから先発に定着し、5勝を挙げたのは2位の酒居知史(大阪ガス)。ほか5位の有吉優樹(九州三菱自動車)も中継ぎでフル回転した。

 柳、佐々木を外しての1位だったDeNAの左腕・濱口遥大だが、10勝6敗と大ブレーク。ほか5位には終盤戦に一軍に上がり、大活躍の細川成也(明秀日立高)もいる。

 田中、佐々木を外したのは3球団。まず、巨人は1位で内野手・吉川尚輝を獲得。2位の畠世周(近大)は終盤に先発ローテに定着し、素晴らしい活躍をした。続いて日本ハムは、1位で堀瑞輝を獲得。2位の石井一成(早大)は堅守を武器に一軍定着を果たした内野手だ。最後の広島は1位で加藤拓也を獲得。初登板で9回一死まで無安打無失点の好投を見せ、初勝利を飾ったが、今季はその1勝のみ。4位には強打の捕手として将来が期待される坂倉将吾(日大三高)もいる。

<次回最終回>

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング