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巨人はなぜドラフトで社会人捕手2人を指名したのか

 

監督就任2年目で初めて抽選に参加した巨人高橋由伸監督。残念ながらくじ運は……


 ドラフト会場のプレスルームに設置されたモニターを、思わず2度見した。

 10月26日、都内ホテルにて行われたドラフト会議でのこと。NTT西日本の捕手・大城卓三の巨人3位指名に違和感を覚えたからだ。すでに巨人は2位で大阪ガスの捕手・岸田行倫を指名しており、上位で社会人捕手を連続指名するなど、あまり聞いたことがない。なぜなのだろうと2017年の巨人在籍リストを眺めていると、合点がいった。

 相川亮二が現役を退き、鬼屋敷正人が戦力外。シーズン途中に田中貴也が支配下昇格しているが、今ドラフト時点での支配下の捕手登録は6人。そういえば、昨オフに加藤健が引退した際に捕手の補充はなかった。三軍制を敷く現在の巨人では、育成の高山竜太朗を加えても7人と、単純に数の不足が理由の1つに挙げられる。

 宮崎でフェニックス・リーグ参戦中の石川慎吾(外野手)が、高校時代の捕手経験もあって、練習を開始したという情報もある。これは有事に備えてのものなので別の話だが、来季に實松一成が37歳を迎えることも理由の1つだろう。正捕手争い活性化の狙いも見えてくる。

 育成ドラフトではさらに大学生捕手2人を指名しており、これらも加えれば11人体制と一気に充実。一方では大城、宇佐見真吾の打撃を生かすためのコンバート案もすでに聞こえてきており、これからさまざまなオプションが試されるのではないか。

 今ドラフトでは1位の鍬原拓也(中大、投手)以外は8位まですべて野手を指名した。一見すると偏った指名に見えるが、逆に昨年は1位の吉川尚輝以外は6人すべてが投手と真逆の陣容で、2年間トータルで見れば意外にバランスが取れていると言える。

 野手陣は高齢化が進み、若手の伸び悩みが目下の課題。7人の野手のうち、高校生は1人のみで経験値の高い社会人4人、大学生2人と即戦力度の高い人選には、すぐにでも世代交代を進めたい思いが見えてくる。

文=坂本 匠 写真=BBM
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