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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

楽天の来季の命運を握る2人の左腕

 

CSファイナルステージ初戦、ソフトバンク相手に好投した塩見


 殻を破れぬ左腕2人がポストシーズンで見せた投球は、来シーズンへ大きな糧となるだろう。楽天は先発左腕が不足気味で、2013年ドラフトでは森雄大、14年には松井裕樹を1位指名するなど、最優先事項のひとつであった。ところが森はまだ成長過程にあり、松井は抑えにまわるなど、いまだに解決できずにいる。しかし、今秋のドラフトでは4位で渡邊佑樹(横浜商大)を指名したのみ。そこには左腕2人の成長が大きく影響したと言えそうだ。

 その2人というのが辛島航塩見貴洋である。ともに毎年先発ローテーションのひとりとして期待されながら、柱となる活躍はできずにいる。今季で言えば辛島は開幕から好投し、チームの開幕ダッシュ成功を支えた。しかし、6月以降に失速。後半に再び調子を上げ、自己最多タイの8勝(8敗)を挙げたが貯金を作ることはできなかった。一方の塩見も開幕先発ローテ入りを期待されながらケガで出遅れてしまう。試合を作ったと言える登板はあるものの、3勝3敗、防御率は3.95と安定感には欠いた。

 しかし、ここぞの試合で2人は存在感を示した。クライマックスシリーズファーストステージを突破した楽天は日本シリーズ進出を懸け、王者・ソフトバンクと対戦。その初戦に先発した塩見は「すごく緊張した」と話しながら6回1失点と好投し、自己ワーストの8試合登板にとどまったシーズンの悔しさを晴らした。続く第2戦を任された辛島は今季2戦2敗と苦手としていた鷹打線に6回途中1失点。緩急を使った落ち着いた投球で、勝負強さを発揮した。チームはその後3連敗で日本シリーズ進出を逃したが、2人の好投は大きなインパクトを与えた。

 今季のドラフトで先発左腕を上位指名しなかったのは、2人に対する期待の表れだろう。8月の大型連敗で優勝を逃した楽天が、来季頂点を狙うためには2人の左腕の成長が必要不可欠だ。10月30日から秋季練習がスタートし、来季へ向け始動した楽天。塩見、辛島の新シーズンもすでに始まっている。

文=阿部ちはる 写真=湯浅芳昭
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