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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画05】『巨人はなぜ国鉄に弱いのか?』【1958年5月14日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えているが、今回から1日に1冊ずつバックナンバーを紹介していこう。いつまで連載が続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

対談で語った金田正一の長嶋評


表紙は巨人のエース、藤田元司


 今回は『1958年5月14日号』。創刊第5号で定価30円。カラーページはない。

 巻頭特集は『巨人はなぜ国鉄に弱いのか?〜苦節五年・恩返しをした宇野監督』。セの王者巨人に対し、国鉄(現ヤクルト)は、前年57年が4位。球団創設以来、いまだAクラス入りはない。

 ただ、3年目を迎えた宇野光雄監督の下、この年は開幕から5勝1敗と巨人に勝ち越していた。宇野監督は巨人・水原円裕監督の慶大の後輩で、もともとは「おとぼけのうーやん」の愛称もあった巨人の人気選手。5年前に国鉄に移籍してからは「打倒巨人」に燃え、監督就任後は巨人戦で互角の戦いを見せていた。特集では、その人物伝に大半を費やしている。

 恒例の『10分間インタビュー』は、前年の新人王で、ともに2年目にしてエース格となっていた南海の木村保と巨人の藤田元司だ。藤田は、この号の表紙にもなっている。

 記事の1つに、立大出の巨人・長嶋茂雄、南海・杉浦忠、早大出の中日森徹ら新人の活躍もあって『やっぱり六大学出だナァ』があった。そのページでの囲み記事では『金環食の日の野球』。4月19日の試合の13時過ぎからが金環食(月が太陽を隠すが、月の視直径のほうが短いケース)となり、試合中の巨人・川上哲治選手が、黒ガラスを手に空を見上げている写真が掲載されている。

 また『プロ野球のヤジ合戦』という記事があるが、これは客席からだけではなく、相手ベンチからのヤジの話がメーン。12球団のヤジ事情から過去のヤジ将軍伝説までつづられているが、それによればヤジが激しいのは中日と南海。球場別では近鉄の藤井寺と広島が騒がしく、観客と選手がケンカになることも多かったようだ。

 対談は『唸る!快速球』と題し、国鉄の金田正一と国鉄ファンの徳川夢声(無声映画の弁士など多彩な活動をしたタレント)が登場。長嶋との開幕戦の話が出ているので抜粋し、紹介する。

「あの選手のスイングを見たら、ふつうのピッチャーはほうりづらいでしょうね。長嶋の、ワッと向かってくるファイトというか……そのとき逃げるとかいう料簡はひとつもなかったですね。みんなタイミングを外したとか言いますけれども、自分はそれほどピッチングはよくなかったですよ。ただブレーキのある球、最高の球を投げたんですよ。結果的に成功したんですが、あの調子で1年いけば、完全に長嶋君牛耳っていけますよ。ただ、僕も人の子ですよ。疲れを知っているんですね。その疲れを知っているときは、あのバッターを牛耳ることはできない。うまさでごまかせるバッターじゃない」と語っている。

 連載『我が家のルール』では、東映の岩本義行監督の節子夫人が登場。岩本監督は現役時代はパワーヒッターで鳴らし、ヘルメットのない頭部に死球を食らっても、痛いそぶりも見せなかった頑丈な体の持ち主だ。「自分から行こうと言い出していながら映画館でぐうぐう寝ちゃうんですから」と、夫人は闘将のふだんの生活をコミカルに語っている。
  
<次回に続く>

写真=BBM
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