週刊ベースボールONLINE

プロ野球デキゴトロジー/11月8日

楽天とオリックスの分配ドラフト【2004年11月8日】

 

11月2日に参入が認められた楽天。写真右から2人目が田尾監督、左隣が三木谷オーナー


 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は11月8日だ。

 大荒れの球界再編問題の後、いや、まだ渦中であった2004年11月2日に「東北楽天ゴールデンイーグルス」の新規参入が認められた。翌3日には球場完成イメージが発表されるなど、仙台市を中心にお祭り騒ぎとなっている。

 一方で、ずっと落ち着かなかったのは近鉄、さらにオリックスの選手だろう。近鉄の選手にすれば「本当に自分の行き先はあるのか」、合併する「オリックス・ブルーウェーブ」側の選手も、せっかく勝ち取ったレギュラーポジションを近鉄からの新加入選手に奪い取られるのではないか……疑心暗鬼の日々だったと思う。

 11月8日は、新球団・楽天と、近鉄とオリックスが合併した「オリックス・バファローズ」の2球団がベースとなる選手を決める「分配ドラフト」が行われた日である。

 これはオリックス、近鉄のFA宣言選手、引退、自由契約選手、外国人選手らを除く選手のうち、まずはオリックスが25人をプロテクト、その後、20人を楽天、20人をオリックス、20人を楽天と順番で指名していき、残りはオリックスになるというものだ。

 近鉄の選手の多くは新球団希望を明言し、特に中心選手である礒部公一中村紀洋岩隈久志らの行方が話題となったが、中村はオリックス合併後、ポスティングを認められ、礒部もプロテクトから外れた。もめたのが近鉄の若きエースだった岩隈だ。最終的には、このドラフトの後、特例でオリックスから楽天に金銭譲渡されている。

 楽天の新監督の田尾安志は、投手17人、野手23人を確定させたドラフト後、「即戦力を中心に考えました。ほぼ予定どおりです」と言いながらも「来季、お荷物にならないよう頑張ります」と本音をもらす。実際、戦力的にはかなりの不安があり、どれも実現していないが、当時はヤクルトラミレス巨人清原和博桑田真澄らの加入もウワサされた。

 実績を積み上げたプロ10年選手がもう一度、ドラフトにかかる。「お前はいる。いらない」の判断をされるということだ。極端かもしれないが、30歳を過ぎたサラリーマンが、自分の会社の合併先の入社試験を受けるようなものだろうか。いずれにせよ、二度と見たくないドラフトだった。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング