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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

広島・中村祐太が過ごす“変化の秋”

 

今季5勝を挙げた中村祐。来季のさらなる飛躍を誓っている



 プロ野球界にとって秋は変化の季節だ。

 戦力外通告やFA権の行使、新監督による組閣など人々が目まぐるしく動く中で、チームに所属する選手もまた、それぞれに変化のときを迎えている。

 広島の高卒4年目右腕、中村祐太も変わりつつある選手の一人だ。

 今季、一軍初登板を果たした中村祐は故障者が続出した先発ローテーションの穴を埋める活躍で5勝をマーク。クセのないフォームから投げ込むキレのあるストレートを武器に、明るい未来を期待させる結果を残した。

 だが、中村祐は自身の活躍を冷静に分析している。

「まだまだ全体的なレベルアップが必要です。今シーズンは初対戦の打者が多く、僕の変化球が分からず打たせて取れたこともありましたが、来季は研究される。実際に後半戦はホームランを打たれることも多くなっていました」

 対策を講じられるであろう来季に向け、重視しているのがストレートの球威アップ。「やっぱり基本はストレート。ストレートで空振りやファウルでカウントを取れるように磨くつもりです」と語る中村祐。それを実現するために秋季キャンプのテーマに掲げているのが、ワインドアップだ。

 もともとはワインドアップだった中村祐だが、今季途中からはセットポジションで投げるようになっていた。

「一軍はちょっとのミスが命取りになるので、安定感やコントロールを求めてセットポジションで投げていました。でも、ワインドアップが自分本来のフォームですし、ボールの威力も上がる。この秋にワインドアップをどこまで固められるかが勝負です」

 DeNAとのCSファイナルステージでは先発の可能性があったために一軍に帯同していたが、雨天順延などもあり、出番はないまま敗戦を見届けた。

「ペナントレースで信頼を勝ち取れず、CSで投げられなかった自分に悔しさがありました。レギュラーシーズンとはまた違う緊張感がある舞台で、自分がどれだけ投げられるか知りたいし、そこで得られるものもある。そのためにも来季は、1年間先発ローテーションを守りたいです」

 芽生えた主力選手への自覚と責任感。投球フォームなどの外見だけでなく、精神的にもまた、若き好投手は大きく変わろうとしているのだ。


文=吉見淳司 写真=BBM
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