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阪神・安藤優也新育成コーチの「投げる体力論」

 

今季限りで現役引退をした安藤優也育成コーチ。これからは16年のプロ生活で培った理論と練習法でケガに強く、息の長い投手を育成していく


 
「投げる体力」という言葉をよく聞く。最近は、肩は消耗品という考え方から、投げ込みをよしとしない風潮もある。走り込みやダッシュなどで下半身を強化し、ウエート・トレーニングで肩周りをはじめ、体全体を強くする強化が多い。キャンプで投げ込み200球などという話はあまり聞かなくなった。

「結局は若いときにしっかり投げ込みをして、投げる体力を付けないといけないと思います。もちろん、ウエート・トレーニングも大事ですよ。その上での話なんです。走り込み、そして投げ込み……日本人などの人種がプロの投手で成功するには、投げ込みは不可欠なんです。上体が強い白人などとは骨格が違いますからね」

 今季限りで現役選手を引退し、育成コーチとなった阪神の安藤優也コーチの考えだ。2002年の自由枠でトヨタ自動車から入団。即戦力投手と期待されルーキーの02年に8試合に先発し3勝を挙げた。このときの2004年まで阪神の投手コーチを務めていたのが佐藤義則楽天投手コーチ(今季はソフトバンク投手コーチ)だった。

「ものすごい量の投げ込みをさせられました。なんでこんなに? と思いましたね、当時は」と安藤コーチ。アマチュアでは毎日試合で投げることがなかったため、いざプロでシーズンが始まると、自分には投げる体力がないことに気が付かされたという。そこで効いてきたのが、佐藤投手コーチによる投げ込みだったというのだ。

「私も16年間の現役生活の中で、さまざまなトレーニングを試してきました。アリゾナでも自主トレをしてアメリカのトレーニングもいろいろやりましたしね。でもやはり、今振り返るとあの若いときの投げ込みがあったからこそ、ここまでプロとしてできた、と言えます。だから投げ込みはプロの投手には必要だと思っています」

 走る体力と体の体力とはまったく違うという「投げる体力」。肩のケガを経験しそして克服。先発と中継ぎの両方を経験した安藤コーチだからこそ言える言葉だ。これから入団してくる新人投手たちにも、その「投げる体力」をつけさせるための練習を思案していき、一人でも多くの息の長い投手を育て上げていくに違いない。

文=椎屋博幸 写真=早浪章弘
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