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プロ野球デキゴトロジー/11月14日

ちょうどよかった坪井智哉と野口寿浩の移籍【2002年11月14日】

 

坪井の日本ハムでの入団会見


 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は11月14日だ。

 好評連載『トレード物語』に掲載するほど大きなものではないが、適材適所となる、なかなかの好トレードはたくさんある。2002年11月14日に発表された阪神坪井智哉と日本ハム・野口寿浩の交換トレードもその1つではないか。やや故障が多く、リードが一本調子だった矢野輝弘をカバーする経験豊富な捕手が欲しかった阪神と、一番打者と率を残せる外野手が欲しかった日本ハムの思惑が合致しての実現だった。

 まず阪神・野口だが、日本ハムでは若手の実松一成を正捕手に育成する方針もあり、徐々に出番が減っていた。矢野に比べれば打撃力で見劣りし、星野仙一監督も第2捕手としての獲得だったと思うが、もちろん、本人にはそこに甘んじるつもりなどない。会見では「野球選手である以上、レギュラーを獲りたい」ときっぱり語ったが、結果的には03年の優勝を第2捕手として、しっかり支えることになる。本人的にはともかく、阪神としては大成功だった。

 坪井は入団1、2年目に打率3割をマークした天才肌のバッター。星野監督初年度の02年は故障もあって24試合の出場に終わったが、その実力は周囲も認めるところだった。「報道で移籍を知った」と当初は戸惑いもあったようだが、「オープン戦ではなく、阪神と対戦したい。まずは外野のレギュラーを取って勝利に貢献します」とこちらもきっぱり。1年目の03年自己最高の打率.330を残し、意地を見せている。

 FA導入後、チームの課題ではなく、獲得選手のネームバリュー重視の補強も目立っていたが、「力のある余剰選手同士のウィンウィンの交換」という、トレードの醍醐味を思い出させるものとなった一つだ。

写真=BBM
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