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【元ソフトバンク・柴原洋に聞く】内野手から外野手へのコンバート、そこにある適性とは?

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は外野守備編。回答者は現役時代にゴールデン・グラブ賞を3回獲得した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.プロ野球の世界では、プロ入り後に内野手から外野手に転向してゴールデン・グラブ賞を獲得するまでになった選手が多くいます。現役選手で言えば、阪神の福留孝介選手や巨人の陽岱鋼選手もいますが、どのような点で適性ありと判断されたのでしょうか。(東京都・50歳)



A.転向の適性は脚力があって、肩が強いこと。ただし、飛球の質の違いには悩まされる。


イラスト=横山英史


 質問に挙がっている福留孝介選手も、陽岱鋼選手も、アマチュア時代はいずれもショートを守っていた選手たちですね。実際、これ以外にも内野手から外野手にコンバートされた選手を見てみると、ショート出身者が多いように感じます。そもそも、外野に移される選手というのは、総じて脚力があり、肩が強いです。それが外野手に必要な能力でもあるのですが、ショートも同じくこれらの能力を求められていて、チーム事情や外野に移ったほうがよりその選手の能力を生かせると判断が下された場合、コンバートとなるのです。

 なお、ショートに限らず、内野手出身選手は捕球がうまく、球際に強いという特徴があります。滅多に行なうことはありませんが、ダイビングキャッチもうまいですね(※基本的には、外野手は飛ぶことを避けるものです。後逸した場合、シングルヒットで止められていたはずの打球を長打にしてしまうリスクがあるからです。よほど確信がある場面、またはカバーに別の選手が入っていることを確認できた以外では避けるべきです)。

 ただ、脚力があって、いくら肩が強いと言っても、内野と外野では打球の質が違います。「はい、今日から外野ね」で務まるポジションではありません。内野手でもフライの処理をしますが、それは高く上がる種類のものだけ。外野では高く上がったフライに加えて、ライナー性の伸びてくる飛球や、フライとライナーの中間のような打球、フックするもの、スライスするもの、ドライブするもの、バットの芯に当たった打球や詰まった打球など、フライ1つをとってみてもさまざまな種類の打球に瞬時に対処しなければいけません。

 私も現役時代ももちろんですが、解説者となったいまでもグラウンドで内野からコンバートされた選手を見たり、話を聞いたりする機会が多いですが、みな、打球の質の違い、その打球への判断に苦労しています。そして、それらを克服するために練習では繰り返し繰り返しノックや打球補を行って努力を積み重ねていますね。ちなみに、本職の外野手でもアマからプロに入ったときは打球の違いに苦労するものです。内野から外野に転向し、賞を獲るような選手は、才能はもちろん、それ相応の努力をしているということです。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。
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