今季、
DeNA監督としてポストシーズンの主役の一人となったアレックス・ラミレス。2009年11月18日は「選手ラミレス」が2年連続MVPとなった日だ。
この年は会場を東京・赤坂サカスとし、イルミネーションがきらびやかに輝くなかで、「2009プロ野球コンベンション」が開催された。夕方6時を前に、選手たちがリムジンで会場へ続々と登場。その主役たちは両側から差し出されたファンの手をタッチしながら、レッドカーペットを歩いていく。これまでの表彰イベントになかった「プロ野球らしくない」シーンが新鮮だった。
本番の受賞式で注目が浴びたのが、当然リーグMVP。セ・リーグではラミレス(
巨人)、パ・リーグではダルビッシュ有(
日本ハム時代)が選ばれた。
ラミレスは前年に続く受賞となったが、連続受賞は外国人選手としては初のことで、セ・リーグでは76、77年の
王貞治(巨人)以来。「王サンは尊敬する偉大な先輩。大変光栄です」と受賞の喜びを声にした。また、外国人選手は通例シーズンが終わると帰国するが、このことを記者から聞かれると、「今季から日本人として登録された。だから急いで帰国する必要もなく、私も家族も日本を愛している」。
一方、ダルビッシュは2年ぶりのMVP受賞。プロ入り5年以内での2度の受賞は
稲尾和久(西鉄)、
イチロー(
オリックス時代)以来の快挙だった。しかし、本人はシーズン後半の自身の状態を挙げ、「おふたりのほどの内容じゃありませんので、価値はありません」と厳しい自己評価を下した。
新人王に輝いた
松本哲也(巨人)は「これに満足することなく来季は3割、盗塁王を狙います」とタイトル獲得宣言。同じく
攝津正(
ソフトバンク)は「(70試合登板は)自分でもよく投げたと思う。本当にうれしいです」と素直な喜びを口にした。松本は今季限りで引退。時の流れは早い。
さすがのコメントを残したのが功労賞を受賞した、この年限りで
楽天監督を退任した
野村克也氏。壇上で「なんの賞ですか?」ととぼけ、功労賞と聞くと「10年遅い。今ごろなんだという感じです」と得意のボヤキが炸裂して会場の笑いを誘った。
なお赤坂サカスでの開催は翌10年限りだった。
写真=BBM