2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 中カラー見開きに巨人と阪神のベンチ前での円陣写真
表紙は西鉄・中西太。保管されていた1冊には「見本」のハンコが押されていた
今回は『1958年9月17日号』。創刊第23号で定価30円。中カラー見開きは『優勝を目指して〜
巨人・
阪神の作戦会議』と題し、巨人と阪神のベンチ前での円陣を掲載していた。誰がセレクトしたのかは分からないが、毎回なかなか凝っている。
巻頭グラビアは3連覇に向け、首位・南海を猛追する西鉄・
三原脩監督、22号を放った巨人の新人・
長嶋茂雄、18日ぶりの勝利で27勝となった国鉄・
金田正一が登場している。
本文巻頭は『特集 バットの魔力だ!〜自力で甦える巨人と西鉄』。一見した際、用具としてのバット特集かと思ったのだが、この時点で好調を維持する巨人、西鉄が、いずれも打線の力で突っ走っているという内容だった。この中の囲み記事で入っていた連載『私の意見』では、探偵作家の水谷準が「へんな空想」と題し寄稿。5回までに6点以上の差がついたら、負けているチームに4アウトまで認めたら、など独自の意見を載せている。
創刊当初からあった豪華座談会は、さすがにペナント佳境とあってなくなったようだが、代わりに野球評論家が聞き手の対談が定着したようだ。今回は、
大和球士が聞き手でパの優勝を狙う阪急の藤本定義監督が登場。『もう黒馬(ダークホース)ではない』とあるが、南海、西鉄とは少しずつ離されつつあった。
また連載名はないが、明らかに、のちの名物連載『記録の手帖』っぽいコーナーもあった。「あの打者を討取れ!」のタイトルで、投手の成績を9回平均にならした被安打、奪三振など、先発、リリーフ別、対戦チーム別、好きな打者・嫌いな打者、イニング別成績などの表も掲載されている読み物だ。筆者は、われらが千葉功氏か。いや、いくらなんでも若すぎるだろう。この企画がどう発展していくかも注目だ。
また後ろグラビアの最終ページには、恒例の選手の私服ショット。今回は『調べに憩う』と題し、
中日の
大矢根博臣投手が浴衣姿でレコードに針を落とすショットが掲載されている。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM