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楽天・渡辺直人 感謝の気持ちを胸に杜の都でもう一度花を咲かせる!

 

楽天の入団会見を行った渡辺(右)


 ファンに、チームメートに愛された男が、杜の都に戻ってくる。

「ただいまです!」と11月30日、仙台市内の球団事務所で行われた会見で笑顔を見せた渡辺直人。衝撃の金銭トレードにより横浜(現DeNA)へと移籍し、その後、西武で4年半を過ごすと、8シーズンぶりにクリムゾンレッドのユニフォームに袖を通すことになった。

「いろいろな経験をさせてもらった。野球も人間も成長させてもらった7年かなと思う」

 会見では終始笑顔を見せながらも、目を赤くする場面も見られた。

 渡辺は2007年、大学生・社会人ドラフト5巡目で楽天に入団。堅実な守備とチームバッティング、常に次塁を狙う全力プレーでレギュラーとファンの心をつかんだ。その人柄でチームメートからの信頼も厚く、トレード直前には選手会副会長に決まっていた。だが、メジャー・リーグから松井稼頭央岩村明憲の獲得に乗り出した楽天は、金銭トレードで渡辺を放出。その翌日に契約更改を行った嶋基宏鉄平草野大輔は会見場で悲しみの涙を流した。

 自身にとっても衝撃的だった移籍。だが、他球団のユニフォームを着てもKoboパーク宮城で渡辺が打席に立つと、楽天の応援席からも大きな声援が送られ何度も背中を押された。

「本当にありがたかった。野球を続ける大きな力になった」

 7年の間に楽天はリーグ優勝、日本一を成し遂げる。一方、渡辺は移籍1年目には126試合に出場も、13年途中に西武へとトレード移籍し、17年オフには戦力外通告を受けた。37歳。「もうこのへんが潮時なのかな、と思う自分もいた」と振り返る。

 そんな中での楽天からの連絡に「本当に心の底からうれしかった。感慨深いというか、感動する」。不安は消えた。「自分ができることを精いっぱいやる。今まで積み上げてきた経験、能力をすべて出し切るという気持ち」。もう一度、東北のファンの前でプレーできる喜びをかみしめた。

「今、僕が野球をできているのはイーグルスのおかげ」

 プロ野球人生をスタートさせた球団で、感謝の気持ちを胸に、もう一度花を咲かせる。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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