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編集部コラム「Every Day BASEBALL」

DeNA・筒香が、バットを守り抜いた超ファインプレー

 

絶対にバットを泥につけないという思いで、転倒する形が崩れた筒香。最後までバットを守り続けた結果の泥んこ姿となった


 今年の1月、DeNA筒香嘉智は、ブランドアンバサダー契約を結ぶミズノ社のクラフトマン・名和民夫さんのもとを訪れバットの感覚の調整を行っていた。その場で削ってもらい、試打を繰り返したという。それだけバットマンとしてのこだわりを持つ選手だ。

 岐阜県養老郡にあるこのクラフト工場を取材し、名和さんにも話を聞き目の前でその仕事ぶりを見せてもらったことがある。この工程を見ると簡単にバットを放り投げたり、叩きつけたりしようとは思わない。それくらい名和さんやこの工場の方々は、バットや野球用具に愛情を注ぎ作っている。素人でさえそう感じるのだから、バットで真剣勝負をしている打者の思いは相当なものだと思う。

 セ・リーグのCSファーストステージ第2戦。甲子園での阪神対DeNA戦は、球史に残る泥試合だった。内野は田んぼのような状態で、外野は雨水が浮いていた。この試合の5回表。阪神の石崎剛の内角高めの真っすぐを避けた筒香がバランスを崩し、泥だらけになって倒れたシーンがあった。翌日のスポーツ紙の1面にもなり、今年のプロ野球を振り返るシーンで必ず出てくるので皆さんもよく覚えていると思う。

 このシーン、記者席から見ていたが、筒香の「バットを絶対に泥につけないぞ」という強い意思が現れた転倒であったように思われた。バランスを崩しながらも右手でバットを上に立てた形で持ち続けた。転倒直後も左ヒジで体を支えながら右手のバットは離さなかった。しかし、転倒の勢いで最後、そのバットの先端に泥がついてしまった。

 転倒する様は、格好悪かったかもしれない。だがこれはバットを守るための姿だったのだと思う。これこそ日本を代表する強打者のバットへの矜持だと感じた。ある番組で、この場面が今年の珍プレー大賞(好プレーでもあると解説もあった)に輝いていたが、個人的には今年No.1の超ファインプレーだと思うのだが。
 

文=椎屋博幸 写真=前島 進

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