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日本ハム・清宮幸太郎 “夢”を封印してまずは結果を

 

今年9月、カナダで開催されたU-18W杯で早実・清宮(日本ハム1位)は将来的なメジャー・リーグへの思いを、堂々と披露していた(右は履正社高・安田尚憲ロッテ1位)


 海外で1度、プレーすると、メジャー・リーグへの思いが加速すると言われる。早実・清宮幸太郎(日本ハムドラフト1位)も例外なく、そうであった。今年9月に行われたU-18ワールドカップ(カナダ・サンダーベイ)。侍ジャパンの四番は「大学進学」か「プロ志望」か、熟考していた時期ではあったが、メジャーへあこがれについては、包み隠さずに披露していた。

 その後の進路表明会見、ドラフト会議、日本ハムの入団会見、そして、札幌ドームでのファンフェスタでは大勢の観衆を前にして「北海道から世界へ」と、将来的なメジャー挑戦を公言し続けている。こうした発言は今に始まったことではなく、清宮は将来の夢を「メジャー・リーグで本塁打王」と語るなど、かねてからMLB志向が強い。

 夢を持つことは大事。目標を達成するために努力することが今後、清宮のモチベーションとなることだろう。しかし、あくまで渡米が実現できるのも、NPBで確固たる実績を残してから、だと思う。ファンフェスタを一区切りにして、「メジャー志望」は封印してほしいと考える。

 大谷翔平も花巻東高時代からメジャーを熱望していた。しかしながら、ドラフトでは日本ハムが強行指名。入団交渉の席で日本ハムは大谷が持つ「夢の実現」へ向けた育成プランを何度も丁寧に説明すると、熱意が伝わり一転、NPB入りへとこぎつけた。

 以降、大谷は「メジャー」への思いは自身の「夢」として、心に秘めてきた。そして前代未聞、少なからず批判の声も多かった投打の「二刀流」を実現させ、周囲を黙らせる活躍を続けてきた。入団5年。だれもが納得する実績を残し、ポスティングシステムを利用しての「メジャー挑戦」を堂々と表明したのである。

 東京六大学歴代3位となる21本塁打の実績を引っ提げて入団する楽天2位指名の慶大・岩見雅紀(4年・比叡山高)は「プロのボールを見たことがないので、ホームランを打てるとか、そういうことは現時点で言えない」と、メディアからの質問に答えている。当然の答えである。清宮も歴代1位とされる高校通算111本塁打。ただ、あくまで「過去の栄光」であり、心の支えにはなっても、プロで打てる保証はどこにもない。

 清宮もプロ(NPB)は厳しい世界であると十分、理解している。まずはチーム内競争を勝ち抜き、一軍昇格から定着、レギュラー奪取と、一つひとつ信頼を獲得していかなければならない。だからこそ、今後は日本ハムの一員として目の前の勝利、そして優勝に貢献することだけを考え、個人の欲はしばらく我慢してほしいのだ。結果を残せば皆、快く送り出してくれることは、今回の大谷が証明している。

 クレバーな清宮。こんなことを指摘せずとも十分、心得ているに違いない。

文=岡本朋祐 写真=早浪章弘
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