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日本ハムはなぜ清宮幸太郎に白羽の矢を立てたのか

 

ドラフトで清宮を引き当てインタビューを受ける木田GM補佐


 この秋、一躍話題の人となった。

 日本ハム木田優夫GM補佐。今年のドラフトで7球団競合の末に早実・清宮幸太郎との交渉権を引き当てると、思わずガッツポーズを掲げた。

 1987年、日大明誠高からドラフト1位指名で巨人に入団した。150キロの真っすぐ、フォークを武器に活躍。オリックス移籍後にはFA権を行使してメジャーに挑んだ。日米球界を股にかけて活躍し、数えきれぬほどの球団を渡り歩いた。最後はBCリーグにも活躍の場を求め、2014年限りでユニフォームを脱いだ。

 ヤクルトでの現役時代に一度、インタビューしたことがあったが、ボソボソと小声でしゃべる割には、冗舌なタイプ。立て板に水のごとく言葉が出てきた。メジャーと日本球界の違いを、自らの経験を基に、実に明快、かつ論理的に語ってくれた。あらかじめ誌面に用意されていたページ数に収まりきらぬほど濃い内容だったので、どこをどうカットすればいいのか、うれしい悲鳴を上げたことを覚えている。

 時は流れて、木田さんは15年から日本ハムのGM補佐に就任、ファイターズの球団経営において、なくてはならぬ存在だ。

 その木田さんに、日本ハムはなぜ清宮に白羽の矢を立てたのか、あらためて聞くために、秋季練習中の鎌ヶ谷グラウンドに足を運んだ。

 木田さんの小声は変わらなかったが、現役時代と違うのは、現在の立場がそうさせるのか、一つひとつ慎重に言葉を選んでいたこと。球団として清宮に対する野球選手、人間としての評価、来季に向けての清宮の起用法、さらに将来的に清宮が見据える道に関しても、球団としての姿勢を示してくれた。

「バッティングに関しては、簡単には出てこないレベルの技術、飛距離を持っている。間違いなく、今年のアマチュア球界の中で一番いい選手という確信を持って指名しました」

「一塁と決めつけているわけではありません。考えるのは、各選手の可能性。どこのポジションでも、将来的にファイターズの勝利に貢献してくれる選手であることは間違いない」

「育成か即一軍か? どこで野球をやってもらうことが本人やチーム、ファンのためになるのかということは、清宮に限らず各選手によって違います」

「プロ野球とは、夢を叶える場所。夢を抱いた選手を、ファイターズは後押しします」(ベースボールマガジン別冊新年号に掲載)

ベースボールマガジン別冊新年号


 木田さんといえば、明石家サンタを演じるタレント性だけではなく、イラストの腕前にかけても球界屈指の定評がある。今回も清宮のイラストをリクエストしたところ、持参した雑誌に写った清宮の写真をしばらく凝視して特徴をつかむや、色紙にマジックをさらさらと走らせ、清宮と、それを笑顔で見つめる自身の似顔絵を見事に仕上げてくれた。

 日大明誠高出身の木田さんが早実・清宮をクジで引き当てた。これは、木田さんと親交のある音楽ユニット、TM NETWORK的にも大事なのだという。リーダーの小室哲哉さんが早実出身、宇都宮隆さん、木根尚登さんが日大明誠高出身。TM NETWORKならぬTMファイターズとして来季の逆襲を誓う木田GM補佐であった。

文=佐藤正行(ベースボールマガジン編集長) 写真=BBM
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