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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

日本ハム・飯山裕志 新米コーチの温かで深すぎる言葉

 

引退後は二軍内野守備コーチとして、第2の野球人生をスタートさせた日本ハムの飯山


「僕みたいな選手は絶対に育てたくない」

 予想もしなかった答えだった。今シーズン限りで20年間の現役生活にピリオドを打った日本ハムの飯山裕志。すでに秋季練習から二軍内野守備コーチとして、第2の野球人生をスタートさせている。

 そんな新米コーチに先日じっくりと話を聞く機会があった。話題は北海道移転前の東京ドーム時代の苦労話をはじめ、20年という長い年月をいかにして生き抜いてきたのかなど多岐に渡った。その中でも特に印象に残ったのが冒頭のひと言。一瞬耳を疑ったが、その理由を聞いていくと飯山裕志にしか紡げない深い思いが込められていた──。

 プロ20年間で一度もレギュラーにはなれず、ほとんどが試合終盤の守備固めでの出場だった飯山。それでも日々のたゆまぬ努力で鉄壁の守備力を手にし、代えのきかないスぺシャリストとしてチームを献身的に支え続けた。そんな守りに人一倍のこだわりを持っていた飯山だからこそ、今度はコーチとして自身のような名手を育てたいはずと思っていたが、答えは違った。

「僕のような試合終盤だけ出るような選手ではなく、みんなには最初から出るレギュラーになってほしい。それには守備だけじゃダメですし、打つこと、走ることも同じぐらい磨いていってほしい」

 自身はプロ20年間で一度もレギュラーになることはできなかった。人知れず悔しさ、もどかしさを味わってきた。だからこそ、自分みたいな選手になるな──。これってなかなか言えることではないし、この言葉の裏にある愛情、深さ、重さにいろいろと考えさせられるものがあった。

「コーチって難しいですね……毎日が試行錯誤の連続です。それに僕は口下手ですし」と苦笑いを浮かべながらも奮闘する新米コーチ。それでも今回明かしてくれた真っすぐな思いはきっと選手たちの心にも届くであろうし、飯山イズムを継ぐ新たな才能が鎌ケ谷で磨かれて台頭してきてくれる日を、いまは心待ちにしたい。

文=松井進作 写真=高原由佳

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