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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

移籍してもう一花咲かせたヤクルト・坂口智隆

 

来季の年俸は再び1億円の大台に



 まさに「不屈の男」だ。ヤクルト坂口智隆が12月5日、東京・北青山の球団事務所で契約更改交渉に臨み、3000万円アップの年俸1億円でサインした。

 2011年に初めて1億円の大台に達すると、このシーズンに175安打をマークして最多安打のタイトルを手にした。翌12年には自己最高額の1億3500万円にアップした。しかし同年5月17日の巨人戦(東京ドーム)、中堅の守備でダイビングキャッチをした際に右肩を地面に強打し、右肩脱臼とじん帯断裂の大ケガ。ここから順風満帆だったプロ野球人生が暗転する。翌年以降もこの故障が尾を引き、打撃も下降線をたどる。面白いように安打を量産したかつての雄姿はなく、出場機会も若手選手に譲ることが増えた。

 2014年に1億円を割ると、2015年の出場数はわずか36試合に減少。同年9月に行った球団との年俸下交渉では、野球協約の限度額を超える大幅減俸が提示される。坂口はこれに同意せず、自ら自由契約を申し入れ、退団となった。

 ここで手を差し伸べたのがヤクルトだった。ただし、その年俸は3000万円。前年の7500万円から半減以上。それでも坂口は、ここから鮮やかによみがえった。かつて4年連続150安打を放った左打者は、当時の輝きを思い出したように安打を重ねた。16年、17年と2年連続で155安打。今季の打率.290は、安打数とともにチームトップの数字となった。年俸は17年に倍増以上の7000万円にアップすると、18年は5年ぶりの1億円復帰だ(金額はすべて推定)。

 来季34歳。ベテランの域に足を踏み入れようとしている男の、見事なまでのV字回復。それでも本人は現状に満足していない。「個人的にはそこそこやれたけど、2年連続で3割に届かなかった。チームも勝てなかったし、悔しいシーズン」と、大台復帰にも笑顔は少なかった。

 常に目指すはキャリアハイであり、具体的には打率.317、175安打がターゲットとなる。オフには例年以上に体を鍛えるという。ヤクルト移籍後にもう一花咲かせた坂口だが、もちろんこれには続きがある。

文=富田 庸 写真=高塩 隆
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