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楽天・銀次が認めさせたい価値ある記録とは?

 

今季、全試合出場を果たした楽天銀次


 2014年シーズン、ヤクルト山田哲人は1試合に欠場することとなり、悔しさをにじませていた。日本人右打者ではシーズン最多となる193安打を放ち、オフにはトリプルスリーという目標が現実的に感じることができていたことだろう。だが、15年の目標はあくまで「全試合出場」だった。好成績を残すのと同じように、いや、もしかしたらそれ以上に全試合出場は難しいことだと感じていたのかもしれない。

 欠場理由は発熱だった。扁桃腺が腫れ、高熱を出してしまうことが山田は少なくなかった。だから14年オフ、扁桃の切除手術をし、翌年にはかねてから目標にしていた全試合出場、そしてトリプルスリーを達成し、チームをリーグ優勝に導いた。

 試合を欠場した日、練習の途中で室内練習場から引き揚げる悔しそうな表情は印象的だった。そんなことを思い出したのは12月8日、楽天・銀次の契約更改日だ。球団生え抜きの高卒野手としては初となる1億円(金額は推定)の大台に乗せたものの、「もっと(金額は)いっているのかなと思った」と厳しい表情を見せた。

 球団によって評価の仕方はさまざまだが、楽天では、全試合出場というのはあまり高い評価を受けないようだ。チームで全試合に出場した銀次と島内宏明の2人が、会見で笑顔を見せなかったことがそれを物語っている。パ・リーグで全試合に出場した選手は9人のみ。ケガはもちろん、打撃が低迷すればメンバーからは外されてしまうのが野手の宿命で、選手たちはその難しさを痛いほど知っている。だからこそ銀次は「若い選手が育つためにも、頑張ったらしっかり評価してほしい」と球団に伝えた。それでも保留することはなかった。

「1年間死ぬ気で戦っているわけですから」

 死球で選手生命を絶たれた選手もいる。山田のように、手術を受ける選手もいる。出場しなければ年俸は減ってしまうが、長いシーズンを常に万全の状態でいることは不可能だ。だからこそ、その価値を上げたいという銀次の思いは強い。それを認めてもらうためには、18年シーズンも全試合に出場し、過去最高の結果を残すしかないだろう。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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