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西武日本一の力となった2008年人的補償入団の岡本真也

 

人的補償で西武に移籍してきた1年目の2008年、18ホールドをマークした岡本真也


 江藤智、岡本真也、中郷大樹脇谷亮太、そして高木勇人。彼らはいずれも人的補償で西武のユニフォームにソデを通した選手だ。

 江藤は2005年に巨人から豊田清、岡本は08年に中日から和田一浩、中郷は13年にロッテから涌井秀章、脇谷は13年に片岡治大の人的補償で西武の一員となった。高木はこのオフ、野上亮磨の人的補償で西武へ。来年から埼玉の地を本拠地に戦っていくことになる。

 過去の4人の中で、即日本一に貢献したのが岡本だ。中日時代にも2度のリーグ優勝に貢献した右腕。「僕のガチガチに力みまくったピッチングを見てください」。入団会見でアピールポイントを笑ってこう答えたが、走者は出しても、任された1イニングを抑える。投手王国の中日で4年連続50試合以上に登板した鉄腕が、プライドを背負って西武の弱点である中継ぎの一員として加入した。

「経験も実績もある。これで優勝が見えてきた」と当時の渡辺久信監督はキャンプ前から大きな期待を抱いていたが、岡本は開幕から存在感を発揮した。グラマンの前のセットアッパーとして、縦に曲がる宝刀スライダーを武器に活躍。中継ぎの柱・三井浩二が不調で出遅れたが、シーズン中は代役として中継ぎ陣で行う決起集会の幹事も務めた。豊富な経験を若手に伝えることも惜しまず、頼れる兄貴分となった。

 中日では岩瀬仁紀につなぐセットアッパーとして不動の地位を確立していただけに、プロテクトリストから漏れ、ショックは大きかった。だが、アマ時代には休部・廃部などが相次ぎ、社会人で所属したチームは5つ。どんな苦難も乗り越えてきた右腕は、後ろを振り向かなかった。

 結局、08年は47試合に投げ、18ホールドをマーク。チームはリーグ優勝を果たし、日本シリーズでは巨人を破って日本一に輝いた。

 高木も大きな期待を背負って、西武にやってきた。かつての岡本のように存在感を発揮して、チームに栄冠をもたらす原動力になるか、注目したい。

文=小林光男 写真=BBM
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