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【元ロッテ・里崎智也に聞く】なぜアマ時代の“打てるキャッチャー”はプロで打てなくなる?[後編]

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は捕手編。回答者はロッテ2度の日本一、WBC初代世界一に貢献した、元ロッテの里崎智也氏だ。

Q.古くは野村克也さん、近年では古田敦也さん、城島健司さん、阿部慎之助選手、そして里崎智也さんと、いわゆる“打撃にも秀でたキャッチャー”はいますが、多くの場合、高校や大学でクリーンアップを打っていても、プロ入り後に打撃に苦しむことが多いように思います。それはなぜでしょうか。また、逆に打撃成績を残せる捕手の特徴とはなんでしょうか。(東京都・26歳)



A. 「キャッチャーだから打撃練習ができない」はウソ。そもそもの個人の能力か、まだ練習が足りないか。


イラスト=横山英史


 前編では、プロ入り後に打撃に苦しむのは“キャッチャー”だけではなく、すべてのポジションの選手にその可能性があることを解説しました。また、プロ入り後に打撃に苦しむのは、そもそもの個人の能力か、まだまだ練習が足りないかのどちらかで、「キャッチャーだから打撃の練習量が足りない」というのは大ウソであるとも書きました。

 前編からの繰り返しにはなりますが、練習量が足りないと思えば、その時間を確保すればいいだけのこと。24時間、守備のことを考えているわけではないですからね。ファンの方の見えないところで、ほとんどの選手が個人のスキルアップのために時間を過ごしています。

 例えば私がまだ一軍で試合に出始めたころ、ホームでの早出特打ちはもちろん、遠征先でも朝10時からお昼の12時くらいまで、相手の練習が始まる前の時間を借りて、連日、打撃練習をしていました。そうして1度宿泊先のホテルに戻り、昼食をとって、チームで再びグラウンドへ。そこから通常の試合前練習です。

 場所が借りられなかったり、地方遠征で施設が整っていない場合は、ホテルの大広間など空いている場所を使ってスイング(素振り)ですね。夜は試合後にスイング。若いころはこういった練習を1日も欠かしたことはありません。

 ベテランになり、ある程度経験を積んで以降は、コンディション調整を優先させたので、量は減りましたが、このように練習量は大概、どこのチームでも確保されているので、やはり、あとは個人個人がどう打撃に向き合うか、なのでしょう。

 また、そもそも、キャッチャーなのですから、技術が追いついてこなくても、頭を使ってそれを補うこともできるはずです。例えば相手の配球をビデオで研究し、バッテリーの球種の傾向を読み説き、分析することでしょう。傾向が読めれば、思い切りが出ますよね。「ここは割り切ってスライダーだ」と。別のボールきたら、三振でもいいというくらいの覚悟を持って、配球を読んで打つのです。

 私の場合、このように頭を使って打つようになってから、成績もついてくるようになりました。

●里崎智也(さとざき・ともや)
1976年5月20日生まれ。徳島県出身。鳴門工高から帝京大を経て99年ドラフト2位でロッテ入団。06年第1回WBC代表。14年現役引退。現役生活16年の通算成績は1089試合出場、打率.256、108本塁打、458打点、6盗塁。
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