2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 特別座談会『金田、稲尾は限界か?』
今回は『1959年7月29日号』。ついに定価が10円上がって40円になった。センターカラーは『ベンチ前の秘策』と題し、
巨人・
水原円裕監督、
藤田元司の2ショット。巻頭グラビアには表紙にもなった大洋の新人・桑田武が18、19号を連発した試合が紹介されていた。
桑田は巨人・
長嶋茂雄との対談にも登場。2人でホームラン王争いをしていた。その中で天覧試合についてのやり取りがあった。
桑田 あの天覧試合のときも。
長嶋 あれも狙ってないよ。僕も野球をやって、あんないいゲームしたということないね。お互い盛り上がっちゃってるからね。
桑田 あのとき、打った瞬間、わかりましたか。
長嶋 いや、僕はあれ、入るとは思ったけど、ファウルになるんじゃないかと思ったね、当たりがよかったから。見てたよ、球の行方を。
桑田 見てたですね。
長嶋 自分じゃファウルになると思ったのね。とにかくいいゲームだった、あの日は。だから新聞にも書いてあったけど、八百長じゃないかなんて、そんなあれをファンの声とかで入れてあったけどね。そう見られても仕方がない。そのくらい白熱したゲームをしたものね。
長嶋の劇的サヨナラホームラン。あまりの劇的な結末に八百長と疑う声もあったらしい。
本文巻頭は『特集 ジャイアンツ診断書〜首位を行く巨人は弱いというけれど……』。7月2日現在で2位国鉄に11.5ゲーム差で独走の巨人を、なぜか「強くはない」と決めつける人が少なくなかったという。読んでいくと、かなりのどうでもいい話が多かった。パでも南海が独走。こちらも『南海の強さは本物か!』という分析記事があった。
7月5日時点で16勝8敗の西鉄・
稲尾和久、同12勝5敗の国鉄・
金田正一については、評論家による特別座談会が組まれ、『金田、稲尾は限界か?』のテーマで話し合われている。当時のエースのハードルは高い。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM