2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 南海・野村に対する駒沢球場のヤジを紹介
今回は『1959年8月12日号』。定価は30円だ。センターグラビアでは、7月28日西宮球場、29日大阪球場で行われるオールスターのファン投票1位選手の紹介があった。投手は
藤田元司(巨人)、杉浦忠(南海)、捕手はこの年から外野に転向していたが、
藤尾茂(巨人)、
野村克也(南海)。巨人の新正捕手・森昌彦は故障していたらしい。一塁手は
藤本勝巳(
阪神)、
榎本喜八(大毎)、二塁手は
小坂佳隆(
広島)、バルボン(阪急)、三塁手は長嶋茂雄(巨人)、
葛城隆雄(大毎)、遊撃手は
広岡達朗(巨人)、
豊田泰光(西鉄)、外野手は
森徹(
中日)、
坂崎一彦(巨人)、
大和田明(広島)、
田宮謙次郎(大毎)、
山内和弘(大毎)、
高倉照幸(西鉄)だ。
本文巻頭は『特集1959年オールスターの対決〜ことしはパが優勢といわれているが』。全パは大毎のミサイル打線を軸に「(2リーグ)分裂後最高の充実感」とあった。ほか『なめられたセ・リーグ』という記事もあったが、この時点でセは3割打者3人、パは8人。日本シリーズの西鉄3連覇もあって、セの力はパより下に見られていた。
座談会は元中日の
西沢道夫が司会で、話題のミサイル打線から田宮、山内、葛城が登場。見出しもずばり『ミサイル爆発する〜12球団ずい一の爆弾トリオ』だった。またまた脱線だが、この座談会ページ中の広告がすごい。「胃腸メキメキ」と見出しがあるのだが、最初は商品がよく分からなかった。「姿勢と健康」という無料冊子の広告のようであり、よく読むと「姿勢矯正器」を販売している会社全体の広告だった。それはそれでいいのだが、目を引いたのが使用前、使用後の写真を比較する、いまでいうライザップ的手法の写真の使い方。こんな時代からやっていたのか。
脱線ついでだ。『プロ野球真夏の怪談〜ビル西田の復帰問題と阪神監督更迭の噂』という記事は、要は球界の噂話を掘り下げたものだが、その見出し近くに映画の広告があり、それがなんと『殺(や)られる』というタイトル。黒バックで監督と俳優の名前のみの広告で、映画の内容は分からない。これもタイアップ記事だったのだろうか。
『ダッグアウト往来』では南海・野村に対する駒沢球場のヤジを紹介。「カーブに弱い野村、リードの悪い野村」というものだが、それについて
鶴岡一人監督は野村に、「ファンはよう知っとる。野村の欠点はあのヤジのとおりだ。ヤジられてしゃくにさわったらカーブを一発打ってみろ」と言っていた。厳しい。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM