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背番号物語

【背番号物語】「#22」捕手と救援投手の二大勢力

 

背番号は選手たちの「もうひとつの顔」だ。ある選手が引退しても、またある選手がその「顔」を受け継ぐ。その歴史を週刊ベースボールONLINEで紐解いていこう。

復権しつつある捕手たち



 美しい弧を描く本塁打を量産して“ホームラン・アーチスト”と呼ばれた阪神田淵幸一が着けてから、捕手の背番号として普及していった「22」だが、1998年に横浜を日本一に導いた“大魔神”佐々木主浩の登場でクローザーの背番号としても浸透。系譜では捕手と救援投手の二大勢力が拮抗している。

 ただ、一時代を築いたクローザーたちが次々に引退していく一方で、2017年にWBCでラッキーボーイとなった巨人の小林誠司、ドラフトで地元の広島から1位で指名された中村奨成ら、現役に若手の注目株もいて、近年は捕手の勢力が盛り返してきた印象だ。

【12球団主な歴代背番号「22」】
巨人 藤本定義(監督)、千葉茂小松原博喜島野修、小林誠司☆

阪神 塚本博睦田宮謙次郎、田淵幸一、木戸克彦藤川球児

中日 遠藤忠二郎河合保彦星野仙一山崎武司大野雄大

オリックス 重松通雄天保義夫種茂雅之小林宏伊藤光

ソフトバンク 別所昭皆川睦男(睦雄)、森口益光長冨浩志西田哲朗☆(2018〜)

日本ハム 鈴木圭一郎、種茂雅之、田村藤夫建山義紀鶴岡慎也

ロッテ 荒川博(博久)、田宮謙次郎、榊親一里崎智也田村龍弘

DeNA 引地信之、清水透(宏悦)、佐々木主浩、高崎健太郎熊原健人☆(2018〜)

西武 尾崎正司東田正義、田淵幸一、野田浩輔中塚駿太

広島 川本徳三大石清水沼四郎高橋建、中村奨成☆(2018〜)

ヤクルト 別部捷夫安田猛高津臣吾増渕竜義蔵本治孝☆(2018〜)

楽天 愛敬尚史戸村健次
(☆は現役)

クローザーの“最後の砦”


横浜・佐々木主浩


 阪神では田淵の前に田宮謙次郎がいて、田淵は好打者のナンバーを受け継いだとも言える。田宮は大毎に移籍して「9」となったが、2年目の60年に「22」へ戻してリーグ優勝に貢献した。

 ただ、阪神では木戸克彦、ロッテでは里崎智也が継承して、捕手ナンバーの印象が強くなる。田淵は移籍した西武でも「22」を着けたが、その西武でも和田一浩中嶋聡がリレーする捕手ナンバーに。ただ、和田は外野手に転向して強打者に成長。中日の山崎武司もプロ入り時は捕手だった。

「22」の投手で、先発タイプでは、南海に若手時代の別所昭(のち毅彦)や“最後の30勝投手”皆川睦男(睦雄)、中日に若手時代の星野仙一、ヤクルトには安田猛、近年では広島に高橋建、現役では中日の大野雄大がいる。

 西鉄の尾崎正司も投手だが、1勝も挙げられないまま外野手となり、のちにプロゴルファーへ転身して、尾崎将司と改名。現在も活躍を続ける“ジャンボ尾崎”の若き日の姿だ。

 存在感があるのはクローザーで、メジャーでも活躍した好投手が目立つ。「22」にこだわったのが佐々木で、2月22日の2時22分に誕生するなど、2という数字に不思議と縁があったことから、自ら希望したという。

 同時期にクローザーとして「22」を着けていたのがヤクルトの高津臣吾で、ともに新たなイメージを「22」に築いた立役者だ。セットアッパーでは日本ハムに建山義紀がいた。

 そして、迎えた18年も現役としてプレーを続けるのが、阪神で捕手の「22」を救援投手の背番号へと一新した藤川球児だ。現役では唯一の救援を専門とする投手でもある。どんな場面でも黙々とマウンドをさばくレジェンドの姿は、印象が薄れつつある救援投手の「22」に、これまでにない深みを与えそうだ。

写真=BBM
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