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【大学野球】宮台康平が大学野球で最初にして最後に手にした“初タイトル”

 

東大・宮台(日本ハム、右から4人目)は日本学生野球協会の表彰選手に選ばれたが、「チームを代表していただいた賞」と受け止めているに違いない


 大学4年間の功績を「形」として残すことができたのは、大きな価値がある。1月10日、東大の左腕・宮台康平(湘南高)が、日本学生野球協会が表彰する平成29年度の表彰選手に選ばれた。同賞は1968年に制定され、今年が50回目。

 高校の部では日本高等学校野球連盟から各都道府県連盟を通じ推薦された47人、大学の部では全日本大学野球連盟から各大学連盟を通じ推薦された26人で、計73人が表彰される。最終学年、卒業見込み、そして、学業と部活動を両立させた学生が対象となっている。

 宮台は第1回の橘谷健(都立西高)以来、東大としては49年ぶり2人目の受賞となった。東京六大学では連盟役員の間で協議されたが、最後は宮台と慶大・岩見雅紀楽天)の2人に絞られたという。岩見は5試合連続、年間12本塁打のリーグ記録を更新(4年秋はシーズン最多タイ7本塁打)し、歴代3位の21本塁打とインパクト十分だった。しかしながら、東大の選手が同賞の対象選手として残ること自体が珍しく、最終的には宮台を推す意見が多かったという。とはいえ、岩見の実績も見逃せないと「連盟特別表彰」となった。

 1925年秋に発足した東京六大学リーグ戦で、東大は唯一、優勝経験がない。宮台は4年間で通算6勝をマーク。3年時には東大史上2人目の日米大学選手権の大学日本代表に選出され、自己最速150キロを計測した。4年秋には15年ぶりの勝ち点奪取に貢献するなど活躍。宮台に限らず、東大の選手はベストナインのほか、個人賞にはなかなか縁がないだけに、今回のような足跡を記したのは多大な意義がある。

 宮台は神宮におけるパフォーマンスだけでなく、文系最難関と言われる法学部でも地道に卒業単位を取得した。普段の練習から努力を怠らず、副主将としてのリーダーシップも発揮し、チームのため献身的に動いた。同表彰の趣旨である「文武両道」という観点からも、宮台に最もふさわしい栄誉と言える。

 今回、宮台個人が表彰されたわけだが、本人には違った感情が入り混じっているような気がする。これまで4年間、取材してきた赤門エースの性格上「チームを代表していただいた賞」と受け止めているような予感がするのだ。それは昨秋、リーグ戦最終戦後の卒業セレモニーの表情(写真)からも見て取れる。

 すでに1月9日から、日本ハムの一員として新人合同自主トレがスタート。東大史上6人目のプロ野球選手としての一歩を踏み出しているが、学生生活で最初にして最後に手にした“初タイトル”は大きな励みとなったはずだ。

文=岡本朋祐 写真=井田新輔
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