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背番号物語

【背番号物語】「#28」左腕の系譜に鉄人がキラリ

 

背番号は選手たちの「もうひとつの顔」だ。ある選手が引退しても、またある選手がその「顔」を受け継ぐ。その歴史を週刊ベースボールONLINEで紐解いていこう。

“ポスト江夏”の左腕たち



「28」が一躍、脚光を浴びたのは1967年、阪神で高卒新人ながら奪三振王となった江夏豊の登場によって。翌68年にはシーズン401奪三振の世界新記録を樹立、その後もV9巨人に立ち向かい、特に王貞治とは名勝負を繰り広げた。

 江夏は阪神を放出されると“流浪の左腕”となって二度と「28」を着けることはなく、阪神も左腕には「28」を与えなかったが、その穴を埋めるように巨人で新浦寿夫(壽夫、壽丈)が、中日では都裕次郎が台頭。奇しくも阪神以外のチームで“ポスト江夏”と言うべき左腕が活躍するようになる。

【12球団主な歴代背番号「28」】
巨人 内藤博文、新浦寿夫(壽夫、壽丈)、広田(廣田)浩章、岡島秀樹畠世周

阪神 青木正一、江夏豊、中田良弘福原忍小野泰己

中日 中山俊丈河村保彦(達彦)、江藤省三丸山泰資

オリックス 中島喬住友平星野伸之小松聖塚原頌平

ソフトバンク 大神武俊林俊彦(俊宏)、渡辺正和大隣憲司高橋礼☆(2018〜)

日本ハム 吉田勝豊二村忠美岡本哲司正田樹新垣勇人

ロッテ 白川一村上公康園川一美加藤康介松永昂大

DeNA 松岡功祐、新浦壽夫、紀田彰一秦裕二福地元春

西武 野口正明田中久寿男宮寺勝利竹下潤藤原良平

広島 高橋千年美衣笠祥雄西田真二瀬戸輝信床田寛樹

ヤクルト 瀬戸昭彦星山晋徳八重樫幸雄川本良平、ブキャナン☆

楽天 金田政彦片山博視石橋良太小野郁☆(2018〜)
(☆は現役)

鉄人28番


広島・衣笠祥雄


 特に巨人では左腕の多い系譜となり、近鉄から加入した阿波野秀幸やメジャーでも活躍した岡島秀樹がリレーした。パ・リーグでは70年代に近鉄で神部年男が活躍、その後はロッテに園川一美、近年ではソフトバンクに大隣憲司がいる。

 特筆すべきは90年代にオリックスの連覇に貢献した星野伸之。「53」から「28」へ“昇格”し、スローカーブを武器に通算176勝を積み上げた“遅球王”だ。

 江夏より前は中日の中山俊丈らの左腕は少数派で、むしろ右の好投手が目立つ。2リーグ分立期には西鉄に野口正明、南海に大神武俊らタイトルホルダーにもなった右腕がいた。

 江夏の放出後は逆に右腕の系譜となった阪神では、長谷川勉を経て中田良弘が長く背負い、さらに長かったのが福原忍。そして現役の小野泰己まで、誰ひとりとして左腕はいない。

 一方で、南海を経て広島へ移籍した江夏の盟友となった衣笠祥雄が若手時代に着けていた背番号でもある。捕手ナンバー「27」に続く背番号であるためか、特に60年代は捕手が散見され、衣笠も入団時は捕手だった。

 捕手で忘れてはならないのがヤクルトの八重樫幸雄だ。大矢明彦の陰に隠れて第2捕手が長かったが、80年代中盤には正捕手に。古田敦也が台頭してからも控えとして存在感を発揮、実働23年は衣笠と並んで長くセ・リーグ記録だった。

 ちなみに、あまりにも有名な衣笠の愛称“鉄人”は「28」時代からのもので、連続試合出場を支えた頑強さではなく、人気アニメ『鉄人28号』が由来。八重樫も最長となる24年の長きにわたって「28」を背負い続けた“鉄人”捕手で、メガネにヤクルトの青いヘルメット、プロテクターを着けた姿は衣笠よりも“本家”に近い(?)。

写真=BBM
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