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2017記録の裏側

急成長した今宮健太のバッティング/記録の裏側05

 

二番を務めながら……


身体能力の高さは球界屈指だ


 2017年の記録の裏側に迫る短期連載。第5回はソフトバンク今宮健太の打撃だ。

 かつて仁志敏久氏(元巨人ほか)と話していたとき、「ただ、体が小さいからホームランが打てないと見なし、つなぎのバッティングをさせるのはおかしい」と言っていた。

 仁志氏自身、アマ時代からそういう偏見(あえてそう言う)と戦いながらバッティングを磨き、結果を出した選手だけに説得力がある。そのとき話に出たのが、身長172センチの今宮だった。

 遊撃守備では現役ナンバーワンと呼ばれ、走塁での貢献度も高い今宮。課題はずっとバッティングと言われてきたが、プロ8年目の17年、キャリアハイの打撃成績を残した。139安打、14本塁打、64打点、15盗塁、打率.264、出塁率.317はすべて自己最高だ。対右投手への苦手意識(対左打率.355、対右.240)、球団別に見ても日本ハムに打率.345ながら西武には.206と、まだまだムラがあるが、急成長の1年と言えるだろう。守備でもエラーがレギュラー確保後で最少の7で、これも自己最高の守備率.988をマークしている。

 今宮の数字は、彼が強力クリーンアップにつなぐ二番打者であることを考えれば、さらに輝きを増す(二番スタメン117試合)。要は自己犠牲の進塁打も要求されている中での数字ということだ。

 走者別の打率は得点圏.293、走者ありで.298、なしで.246という数字に加え、走者が三塁にいるケースでは、満塁が.333、二、三塁が.556、一、三塁が.333、三塁が.500といずれも高打率。走者一塁か二塁ならチャンスメークのための進塁打か要求されるのでなかなか打率が上がらないが、自分のバットで得点につなげられる三塁ではしっかり仕事をしている、ということだろう。

 現在、最強軍団ソフトバンクの二番打者として、今宮の存在は名人芸の犠打も含め、不可欠。走者なしの低打率は、それだけ安定感を欠いているからでもある。それは十分承知しているが、今宮を一番に定着させ、積極打法を生かすのも面白いと思うのだが、いかがだろう。

写真=湯浅芳昭
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