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プロ野球仰天伝説

【プロ野球仰天伝説28】小山正明の踏み出した足はすべて同じ個所に着いていた

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

針の穴を通すコントロール


抜群の制球力を誇った小山


 圧倒的な制球力を誇った小山正明阪神ほか)。リーグ最多無四球試合が5度あり、「針の穴を通すコントロール」とも言われた。阪神入団当初は、むしろコントロールが悪いほうだったというが、「打撃練習で鍛えられた。ストライクが入らんと怒鳴り倒されたから。特に怖かったのが藤村富美男さん。怒鳴ったりしなかったけど、2つ3つ外れると黙って隣のケージに移ってしまう。これがこたえてね」(小山)。

 制球力が良かった秘訣は、何球投げても、フォームがまったく崩れなかったからだ。

「粘土質のマウンドで投げた際によく分かるが、踏み出す足の跡がまったく変わらなかった。僕の足は28センチ。それがきっちり6足半、全球ハンコを押したように行った。寸分の狂いもない。下半身がしっかりしているから、投球動作がブレないんや」

 それだけ、走り込みや投げ込みをしたからでもある(いつも小山氏にこの話を聞くと、いまの選手の投げ込み不足、走り込み不足を嘆かれる)。また、小山はその試合で投げたすべての球をその意図まで説明できたという。

 記憶力に加え、それだけ考えながら投げ、さらに言えば、制球が良かったからでもあろう。

小山正明(こやま・まさあき)
1934年7月28日生まれ。兵庫県出身。高砂高から53年阪神入団。抜群の制球力と快速球を武器に62年はエースとして優勝に貢献し、沢村賞も手にしている。64年東京(のちロッテ)に移籍し、同年はパームボールを駆使し30勝で最多勝に。73年大洋に移籍し、同年限りで現役引退。2001年野球殿堂入り。主なタイトルは最多勝利1回、沢村賞1回。通算成績856試合登板、320勝232敗、防御率2.45。

写真=BBM
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