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プロ野球仰天伝説

【プロ野球仰天伝説30】打者が尻もちをついた堀内恒夫のカーブがストライクゾーンまで曲がった

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

強いスピンをかけやすかった中指


1年目からカーブを武器に勝利を重ねた堀内


 史上屈指のタテのカーブ、いわゆるドロップの使い手と言われるのが、巨人堀内恒夫だ。少年時代、家にあった製麺機にはさまれて指先が欠け、人さし指が短かったことで、球を抜くときに人さし指が早く抜けて、中指で強いスピンをかけやすかったことから変化が大きくなったという。

 開幕13連勝を飾ったプロ1年目から、そのカーブは猛威を振るった。阪神山内一弘が顔面へ向かってくるボールと思って尻もちをついたのだが、そこからストライクゾーンに入り、話題になったこともある。

 堀内の意識としては、カーブの狙いどころは2つ。1つが右打者の頭近くで、右打者なら山内のように腰が引け、たいていは見送りのストライク。左打者ならボールゾーンからストライクに入ってくるから、これも見送る。

 空振りを取りたいときは、左右とも真ん中高めに投げた。右打者なら外角、左打者なら内角ギリギリに決まり、面白いように空振りが取れたという。

 もちろん、カーブのような緩い球が決まるのは、ストレートが速かったこともある。新人・堀内のカーブに打者の目が慣れていなかったこともプラスになったという。2年目以降は少しずつ、他の球種も交えていく形となって、通算203勝をマークした。

堀内恒夫(ほりうち・つねお)
1948年1月16日生まれ。山梨県出身。ドラフト1位で66年巨人入団、初登板からの13連勝を含む16勝、防御率1.39で最優秀防御率、新人王に輝いた。翌67年からエースナンバー18を背負い、巨人V9エースとして君臨し、72年には26勝で最多勝。83年限りで現役引退。2004年から2年間は監督。08年野球殿堂入り。主なタイトルはMVP1回、新人王、最優秀防御率1回、最多奪三振1回、沢村賞2回。通算成績560試合登板、203勝139敗6セーブ、防御率3.27。

写真=BBM
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