現役時代、フルスイングで結果を残してきた池山隆寛
現役時代は
関根潤三監督の下、思い切りの良いスイングでブンブン丸と呼ばれ、その後は
野村克也監督の下でID野球を学んだ。5年連続30本塁打を達成するなど輝かしい実績を残した池山隆寛が、今季から
楽天の二軍監督に就任。どんな指導、采配をしていくか注目である。
自身の現役時代を振り返ってもらうと、反省が口をつく。
「野球の本質とかプレースタイルを考えるよりも、やっぱり自分の体をもう一回鍛え直していたほうが良かったのかなと、つくづくそう思うね」
あれほどのフルスイングをするにはやはり体力が必要だ。プロとして結果が求められる中で年齢を重ね、体力が落ちてくると、フルスイングに頼らないバッティング方法を考えるのは自然の成り行きだった。だが、やはり個性を貫き通すべきだったと今になって思う。フルスイングをするためにどうすべきかを考えていれば、もう少し長く現役でプレーを続けられていたのではないかと言うのだ。
さらに、当時は「動物的な感覚、自分の感覚でやってきた」ため、フルスイングの重要性にはまだ気づいていなかった。引退後、指導者となって、言葉での説明が求められたとき、それが分かったという。
「バッターというのは振る力、ヘッドのスピードがなければ、ボールは遠くへ飛んでいかない」
だからこそ今、選手たちには振る力を求める。「フルスイングする力がなければプロでは生き残れない」と。もちろん、選手によってそれぞれの特徴があり、求められていることも違うが、それは振る力があってこそ。個性を伸ばしながら、考えさせる。現役時代に多くの成功と挫折を味わったからこそ、その言葉は説得力を持ち、選手に伝わっていく。
ここ2年、楽天はイースタン2位と結果を残してきているだけに、重圧のかかる中での就任となったが、若鷲たちを高く飛び立たせるために経験と知識をすべて伝えていく。
文=阿部ちはる 写真=BBM