背番号は選手たちの「もうひとつの顔」だ。ある選手が引退しても、またある選手がその「顔」を受け継ぐ。その歴史を週刊ベースボールONLINEで紐解いていこう。 エースナンバーへの飛躍
投打ともに多くの名選手が「46」から巣立ち、ほかの背番号で活躍を続けた。投手では、のちにエースナンバー「18」で活躍を続けた右腕が両リーグにいる。
パ・リーグには
ロッテに
成田文男。ノーヒットノーランや初の最多勝は「46」の時代だ。セ・リーグには
DeNAで「18」の印象が強い三浦大輔。ドラフト6位という下位指名から着実に登板機会を増やし、「46」で初の2ケタ勝利を挙げてエースナンバーに変更、38年ぶりの優勝、日本一に貢献した。
DeNAの系譜には、独特の“こけしバット”で暗黒期の四番打者を務めた
山崎賢一の下積み時代、さらにさかのぼると
巨人の
王貞治と対戦50打数で被本塁打ゼロという“最強の王キラー”
平岡一郎もいる。
【12球団主な歴代背番号「46」】
巨人
高橋一三、
松原明夫、
野口茂樹、
一岡竜司、
大城卓三☆(2018〜)
阪神 岡田功、
大島忠一、
横谷総一、
鶴直人、
秋山拓巳☆
中日 竹田和史、
川又米利、
平沼定晴、
古池拓一、
鈴木博志☆(2018〜)
オリックス 松並和視、
清原雄一、
迎祐一郎、
川端崇義、
本田仁海☆(2018〜)
ソフトバンク 長光告直、
国貞泰汎、
岡本圭右、
坊西浩嗣、
本多雄一☆
日本ハム 鍋島鉱次郎、
大室勝美、
森本稀哲、
植村祐介、
田中瑛斗☆
ロッテ 成田文男、
倉持明、
安木祥二、
グライシンガー、
岩下大輝☆
DeNA
波山次郎、平岡一郎、山崎賢一、三浦大輔、
田中健二朗☆
西武 春日一平、
野田浩輔、G.G.佐藤、
中崎雄太、
鈴木将平☆
広島 藤本和宏、
植田幸弘、
東出輝裕、
大島崇行、
高橋樹也☆
ヤクルト 田所善治郎、
栗山英樹、
乱橋幸仁、
飯原誉士、
谷内亮太☆
楽天 高橋浩司、鉄平、
ファンミル、
伊東亮大、
濱矢廣大☆
(☆は現役)
個性あふれる好打者
楽天・鉄平
打者では、広島にドラフト1位で入団して1年目だけ着けて、長く「2」として低迷するチームを支え続けた東出輝裕がいる。
入れ替わるように「46」となったのが日本ハム2年目の森本稀哲だ。「53」に続く2番目の背番号で、SHINJO(
新庄剛志)とともにド派手なパフォーマンスを繰り広げて、のちにSHINJOの「1」を継承した。
続いて近鉄の
北川博敏が「46」となって1年目に史上唯一の代打逆転サヨナラ満塁“優勝決定”本塁打を放って強烈な印象を残す。同時期にいたのがG.G.佐藤で、米マイナーから西武へ入団した異色の経歴を持つ。
古くは闘志あふれるプレーで“ゴリ”と呼ばれた南海の国貞泰汎。その現役の後継者は1年目から背負い続けている韋駄天の本多雄一だ。日本ハム監督の栗山英樹もヤクルトでの現役時代に着けていたが、背番号を若くした途端、メニエール病の再発などで引退を余儀なくされている。
2チームで一貫して「46」だった貴重な存在が(土谷)鉄平。中日では芽が出なかったが、楽天でも「46」を着けると、移籍1年目にブレーク、楽天が初のAクラスに進出した2009年には首位打者に輝いた「46」の出世頭だ。ただ、その鉄平もオリックスへ移籍して「0」に。完全なるトレードマークとして自らのイメージを「46」に定着させた名選手は、まだ現れていないと言っていいだろう。
言い換えれば、「46」の選手には投打ともに独自の印象を築くチャンスが残されている、ということだ。2017年に初の2ケタ12勝を挙げて遅咲きの花を咲かせた阪神の秋山拓巳も、その1人だろう。活躍を続けて「46」から巣立つのか、あるいは「46」のまま輝きを放つのか。ちなみに、その阪神の2代目は岡田功。のちに名審判となった超個性派だ。
写真=BBM